2型糖尿病の治療なら|日本橋の内科 0th CLINIC(ゼロスクリニック)
2型糖尿病|診断・治療・実践ガイド(食事/運動/薬/合併症予防)
生活習慣×薬物療法×モニタリングで、あなたに合った継続可能な治療計画を作ります。
2型糖尿病とは
2型糖尿病は、インスリン抵抗性と分泌低下の両方が関わる慢性疾患です。放置すると眼・腎・神経・心血管・足などに合併症が進みますが、適切な治療と生活改善で十分にコントロール可能です。
主な症状
- 口渇・多飲・多尿(夜間尿)
- 倦怠感・体重減少・集中力低下
- かすみ目、傷の治りにくさ、感染反復
- 無症状で健診異常のみのことも多い
原因・リスク因子
- 過体重・内臓脂肪、運動不足、食習慣
- 家族歴・遺伝、加齢、睡眠時無呼吸
- 喫煙・ストレス、妊娠糖尿病の既往、ステロイドなど薬剤
検査・診断
検査 | 糖尿病を示唆する目安 |
---|---|
空腹時血糖 | 126 mg/dL 以上 |
随時血糖 | 200 mg/dL 以上(症状あり) |
HbA1c | 6.5% 以上 |
75gOGTT(必要時) | 2時間値 200 mg/dL 以上 |
同日または別日に2回以上の異常所見確認が原則。1型や膵性疑いではCペプチドや自己抗体を追加します。
治療目標(例)
項目 | 目標例 | 補足 |
---|---|---|
HbA1c | おおむね 6〜7%台 | 低血糖リスクや年齢・併存症で個別設定 |
体重 | 5〜10%減量を検討 | 内臓脂肪の改善を重視 |
血圧・脂質 | ガイドに準拠して管理 | 心血管合併症予防 |
食後血糖 | 食後2時間 180 mg/dL 未満を目安 | CGMのTIRも併用 |
生活療法(食事・運動・睡眠・禁煙)
- 食事:主食量の最適化、ベジファースト、タンパク質・食物繊維の確保、甘味飲料の見直し
- 運動:有酸素150分/週+筋トレ週2〜3回、食後の軽い活動
- 睡眠・ストレス:7時間前後、ストレス対処(深呼吸・散歩など)
- 禁煙:血管合併症予防の観点から強く推奨
運動の実践例(週間プラン)
- 有酸素:速歩30分×週5回(通勤ウォークやサイクリングに置換OK)
- 筋トレ:スクワット・カーフレイズ・プランク等 15〜20分×週2〜3回
- 食後対策:食後30〜60分以内に10〜15分の軽い歩行
- 無理せず段階的に負荷アップ。体調不良時は中止
薬物療法の選び方
一般的にメトホルミンを起点に、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の早期併用を検討します。DPP-4阻害薬、SU薬、αGI、TZD、グリニドは病態や到達目標、副作用プロファイルで選択します。
- SGLT2阻害薬:体重/血圧低下、心不全・腎症へのベネフィット
- GLP-1受容体作動薬:食欲抑制・体重減少、食後高血糖の改善
- DPP-4阻害薬:低血糖リスクが低く併用しやすい
病態別の薬剤選択フロー(例)
病態/優先課題 | 検討薬剤(例) | ポイント |
---|---|---|
動脈硬化性心血管疾患 | GLP-1RA / SGLT2 | イベント抑制エビデンスのあるクラスを優先 |
心不全 | SGLT2 | 再入院抑制などのベネフィット |
腎症(eGFR低下/蛋白尿) | SGLT2 | 腎保護目的で早期導入を検討 |
肥満対策 | GLP-1RA / SGLT2 | 体重減少効果を期待 |
低血糖を避けたい | GLP-1RA / SGLT2 / DPP-4 | SUや過量のインスリンは注意 |
インスリン導入の目安
- 著明な高血糖/ケトーシス/体重減少など代謝是正が必要
- 経口薬・GLP-1併用でも目標未達が続く
- 妊娠・術前・重症感染症など厳格管理が必要
関連:基礎インスリン / 追加インスリン(超速効型)
自己測定/CGM(持続血糖測定)の活用
- 自己血糖測定(SMBG):食前・食後2時間・就寝前など、パターン把握に有用
- CGM:TIR(Time in Range:70–180mg/dL)を増やすことを目標に調整
- 薬剤変更や運動・食事の調整時に特に有用。低血糖の気づきにも役立つ
シックデイルール(体調不良時の対応)
- 水分を確保:経口補水などで脱水を防ぐ(砂糖入り飲料は基本NG)
- 測定を増やす:血糖・体温・尿ケトン(可能なら)をチェック
- 薬の自己中断は避ける:嘔吐や食事不能時は主治医に連絡し指示を仰ぐ
- 受診の目安:高熱、嘔吐・下痢が続く、急な体重減少、意識障害感、強い口渇/頻尿など
低血糖への対応(15gルール)
- 症状(冷汗・手の震え・動悸・強い空腹感 など)や測定値が70mg/dL未満なら、糖質15gを摂取(ブドウ糖3〜4錠、果汁ジュース150mlなど)
- 15分後に再測定し、改善なければ再度15g
- 直後の運転・入浴は避ける。重症時は救急要請
足のセルフチェック(週1〜)
- 傷・水ぶくれ・色調変化・爪の食い込みがないか
- 感覚低下・しびれ・冷えの有無
- 清潔・保湿・爪の切り方(深爪NG)、合わない靴を避ける
- 異常があれば早めに受診
合併症予防(眼・腎・神経・心血管・足)
- 眼:年1回の眼底検査
- 腎:eGFR・尿アルブミンの定期チェック
- 神経:振動覚/触覚の評価、足病変の早期対応
- 心血管:血圧・脂質・禁煙、必要に応じて薬物治療
- 足:胼胝・潰瘍・感染の予防とフットケア指導
定期検査の頻度(目安)
項目 | 頻度の目安 |
---|---|
診察・血糖/HbA1c | 1〜3か月ごと |
腎機能・尿アルブミン | 年1〜2回以上(SGLT2使用時は定期) |
脂質・肝機能・血圧・体重 | 定期評価 |
眼底・神経・足病変 | 年1回以上 |
通院・フォローアップ
- 受診:1〜3か月毎(変更期は短め)
- HbA1c:3か月毎(到達まで短縮可)
- 自己中断はしない。副作用・低血糖は早めに相談
よくある質問
薬はどのくらいで増えますか?
体重を減らしたいのですが、どの薬が向いていますか?
インスリンに変えたら戻せますか?
CGMは誰でも使えますか?
外食や会食が多いときのコツは?
関連ページ
💊 糖尿病治療薬の種類と特徴
糖尿病治療では、血糖値を下げるための薬を使うことがあります。
病態や合併症の有無に応じて、内服薬や注射薬を適切に組み合わせて治療します。
🔷 主な内服薬(経口血糖降下薬)
- ビグアナイド薬(メトホルミンなど)
─ 肝臓での糖の産生を抑える。体重が気になる方にも適応されます。 - SGLT2阻害薬
─ 尿から糖を排出する薬。体重減少や血圧改善も期待されます。 - DPP-4阻害薬
─ 食後のインスリン分泌を助ける薬。低血糖を起こしにくいのが特徴です。 - スルホニル尿素薬(SU薬)
─ インスリン分泌を促進する薬。やや低血糖を起こしやすいので注意。 - α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
─ 糖の吸収をゆっくりにすることで、食後高血糖を抑えます。
💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)
- インスリン製剤
─ 血糖値を直接下げるホルモンを補う薬。1型糖尿病や重症の2型糖尿病で使用。 - GLP-1受容体作動薬
─ インスリン分泌を促進し、食欲を抑える注射薬。週1回の製剤もあり、肥満のある方にも有効です。
📋 副作用や注意点
- 低血糖(特にSU薬・インスリン使用中)
- 吐き気・食欲不振(GLP-1受容体作動薬)
- 尿路感染症・脱水(SGLT2阻害薬)
- 腎機能や肝機能の状態により、使用できない薬もあります
🏥 通院・血液検査が大切です
糖尿病は「症状が出にくい」慢性疾患です。
自己判断で薬を中断せず、定期的に診察・HbA1cや腎機能の検査を受けて、合併症を予防しましょう。
💊 糖尿病治療薬の種類と特徴
糖尿病の治療薬は多岐にわたります。以下は、日本国内で使用される代表的な薬剤とその特徴をまとめたものです。
🟢 経口血糖降下薬(内服薬)
① ビグアナイド薬(Biguanides)
- メトホルミン(メトグルコ®、グリコラン®):肝臓での糖新生抑制、第一選択薬。下痢などの副作用に注意。
② スルホニル尿素薬(SU薬)
- グリベンクラミド(オイグルコン®)
- グリクラジド(グリミクロン®)
- グリメピリド(アマリール®):低血糖と体重増加に注意。
③ 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系)
④ α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
⑤ チアゾリジン薬(TZD)
- ピオグリタゾン(アクトス®):インスリン抵抗性改善。浮腫や体重増加に注意。
⑥ DPP-4阻害薬
⑦ SGLT2阻害薬
💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)
① GLP-1受容体作動薬
- リラグルチド(ビクトーザ®)
- デュラグルチド(トルリシティ®)
- セマグルチド(オゼンピック®、ウゴービ®)
- チルゼパチド(マンジャロ®):GIP/GLP-1デュアル作動薬。強力な血糖・体重コントロール。
② インスリン製剤(分類別)
- 超速効型インスリン(食事直前に使用)
アスパルト(ノボラピッド®) / リスプロ(ヒューマログ®) / グルリジン(アピドラ®) / フィアスプ® / ルムジェブ® - 速効型インスリン(食前30分投与)
レギュラーインスリン(ノボリンR®、ヒューマリンR®) - 混合型インスリン(プレミックス)
ノボラピッド®30ミックス・50ミックス・70ミックス / ヒューマログ®ミックス25・50 - 中間型インスリン
NPHインスリン(ノボリンN®、ヒューマリンN®) - 持効型インスリン(持続時間:約24時間)
グラルギン(ランタス®、ランタスXR®) / デグルデク(トレシーバ®) / デテミル(レベミル®) - 配合注射(インスリン+GLP-1受容体作動薬)
ソリクア®(グラルギン+リキシセナチド) / ゾルトファイ®(デグルデク+リラグルチド)
それぞれの薬剤は、患者さんの体質・合併症・ライフスタイルに応じて選択されます。
詳しくは医師にご相談ください。
GLP-1受容体作動薬の作用メカニズム

GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌促進、食欲抑制、胃の排出遅延などの作用を通じて血糖値をコントロールします。
また、体重減少効果もあることから、2型糖尿病や肥満治療にも用いられます。
こんな方はご相談ください
- のどが渇く、水をたくさん飲む
- 尿の量や回数が増えた
- 食欲があるのに体重が減る
- 疲れやすい、だるい
- 手足のしびれ
- ケガが治りにくい
- 健康診断で血糖値やHbA1cが高いと言われた
症状から探す
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「糖尿病は、“症状が出にくいけれど確実に進行する病気”です。
合併症を防ぐには、早期からの集中的な治療がとても大切です。
専門知識だけでなく、生活スタイルに合わせた治療提案を常に意識しています。」
0th CLINICの糖尿病診療では、GLP-1受容体作動薬・SGLT2阻害薬などの最新薬剤を活用しつつ、患者さま一人ひとりに合わせた“続けやすい医療”を提供しています。
長期的な血糖管理を通じて、合併症のない未来を一緒に築いていきましょう。
0th CLINIC 日本橋 院長
医学博士(心臓血管外科学)
日本病理学会認定 病理専門医/元外科専門医/プライマリケア連合学会認定 プライマリケア認定医
総合診療・救急・内科・慢性疾患管理における診療経験10年以上
📚 2型糖尿病:診断・治療の科学的根拠と外部リンク集
2型糖尿病は、生活習慣の最適化(食事・運動・睡眠・禁煙)を土台に、合併症リスクに応じた薬物療法(メトホルミン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬など)を組み合わせて治療します。ここでは、臨床で広く参照される最新ガイドラインと主要エビデンスを、患者さんにも役立つ形でまとめました。
🔬 公的機関・国際機関(総論・やさしい解説)
- NHS(英国)Type 2 diabetes:患者向けの基礎知識
- NIDDK(NIH)Type 2 Diabetes:症状・検査・治療の総論
- WHO:Diabetes ファクトシート(世界の疫学・予防)
🏛 学会・専門団体ガイドライン(治療の標準)
- ADA Standards of Care 2025(米国糖尿病学会・年次改訂):診断・血糖目標・体重管理・CVD/腎管理まで体系化
- ADA SoC 2025:肥満・体重管理(Section 8)
- ADA SoC 2025:心血管リスク管理(Section 10)
- NICE NG28(英国)成人2型糖尿病の治療:英国の薬物選択アルゴリズム
- KDIGO 2022:糖尿病とCKDの管理:SGLT2阻害薬・RA系薬・非ステロイド性MRA など
- ADA/EASD 2022 コンセンサス(T2D高血糖管理)
📖 代表的な臨床試験・総説(薬剤ごとの“効き方”の根拠)
- 厳格な血糖管理と長期合併症:UKPDS 33(強化療法で微小血管合併症抑制)/UKPDS 34(メトホルミンの予後改善:過体重例)
- SGLT2阻害薬:EMPA-REG OUTCOME(エンパグリフロジン);DAPA-CKD(ダパグリフロジン:腎保護)
- GLP-1受容体作動薬:LEADER(リラグルチド);SUSTAIN-6(セマグルチド);REWIND(デュラグルチド)
🇯🇵 日本の公的情報・学会
🤝 生活と支援(QOL向上のために)
- 血糖管理の“土台”は生活習慣。体重・食後高血糖・睡眠・禁煙を総合的に整える(体重管理は治療効果を底上げ)
- 薬剤は合併症リスクで選ぶ:心血管病にはGLP-1RA/SGLT2、腎疾患や心不全にはSGLT2が特に有用
- メトホルミンは多くの方で第一選択(忍容性や腎機能で調整)。その後は“個別化”が基本
- 血圧・脂質(スタチン等)・禁煙対策も合併症予防の柱。定期フォローで目標をアップデート
※ 実際の治療は、年齢・合併症・腎機能・低血糖リスク・希望(注射可否や体重目標)などを総合して、担当医と一緒に決めましょう。
関連コラム
ただいま準備中です。少々お待ちください。