メトホルミン(メトグルコ)

メトホルミン|2型糖尿病治療薬・ビグアナイド薬|0th CLINIC

💊 メトホルミンとは(基本情報)

メトホルミン(メトグルコ)

▲ メトホルミン錠

メトホルミンは、2型糖尿病の治療に広く使用されている、ビグアナイド系薬剤です。
血糖値を下げる主な作用は肝臓での糖新生の抑制と、筋肉でのインスリン感受性の改善にあります。

項目 内容
一般名 メトホルミン塩酸塩(Metformin Hydrochloride)
剤形 内服錠(250mg, 500mg, 750mg, 徐放錠あり)
適応症 2型糖尿病
保険適用 ○(保険診療にて処方可能)
特徴 空腹時血糖・HbA1cともに改善し、体重増加を招きにくい点が大きな特徴です。
心血管疾患リスクの低減に関する報告もあり、糖尿病治療の第一選択薬とされています。

● 主な副作用には胃腸障害(吐き気、下痢)などがあります。
● 腎機能が低下している方では乳酸アシドーシスのリスクがあるため、定期的な腎機能チェックが重要です。
● 運動療法・食事療法と併用し、インスリン抵抗性の改善を目指します。

💡 メトホルミンの作用と使い方

■ 血糖値を下げるしくみ(ビグアナイド系薬)

メトホルミンはビグアナイド系の糖尿病治療薬で、肝臓での糖の産生を抑えるとともに、筋肉や脂肪組織でのインスリン感受性を高める働きがあります。
その結果、血糖値が自然に下がりやすくなります

■ 2型糖尿病の第一選択薬

メトホルミンは、体重増加を起こしにくく、低血糖リスクも少ないため、2型糖尿病の最初の治療薬として広く用いられています。
心血管リスクの低減にもつながるとの報告もあり、長期的な健康維持に有効とされています。

■ 服用方法と注意点

● 通常は1日2~3回、食後に500mg程度から開始し、体質に応じて増量されます。
● 胃腸への負担を抑えるため、必ず食後に服用してください。
● 腎機能が低下している方では、乳酸アシドーシスという重篤な副作用のリスクがあるため、定期的な血液検査が必要です。

■ よくある副作用

主に胃の不快感、吐き気、下痢などが初期に見られることがあります。
多くは数日~1週間で改善しますが、長引く場合は医師に相談してください。

■ 効果の実感まで:数日〜数週間

食後の血糖値が改善してきたことを数日〜1週間程度で実感される方も多いです。
定期的な血糖・HbA1c測定に加え、食事・運動療法とあわせて取り組むことが治療効果を高めます。

✅ メトホルミンは2型糖尿病の基本薬として広く使われています。
継続的な服用と生活習慣の見直しを併用することで、より良い血糖コントロールが可能になります。

💊 メトホルミンの適応疾患と使い分け

メトホルミンはビグアナイド系の経口血糖降下薬で、肝臓での糖産生抑制インスリン抵抗性の改善により血糖をコントロールします。
低血糖を起こしにくく、体重増加も少ないため、2型糖尿病治療の第一選択薬とされています。

✅ 主な適応疾患

疾患名 解説
2型糖尿病 基本的な第一選択薬。血糖コントロールと心血管保護効果が期待される。
メタボリックシンドローム インスリン抵抗性の改善に有効。体重増加のリスクが低い。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群) インスリン抵抗性の関与がある場合に補助療法として使用される。
糖尿病合併症予防 心血管イベントのリスク低減が期待される。

✅ 他の糖尿病薬との使い分け

分類 主な薬剤 使い分けのポイント
DPP-4阻害薬 シタグリプチンアログリプチンリナグリプチン 高齢者や腎機能低下例にも使用可能。メトホルミンとの併用が多い。
SGLT2阻害薬 ダパグリフロジンエンパグリフロジン 体重減少・心不全予防が目的。併用で効果増強が期待される。
GLP-1受容体作動薬 リラグルチドセマグルチドチルゼパチド 体重管理や強力なHbA1c低下を狙うときに使用。注射剤。
インスリン グラルギンデグルデク 重度の高血糖やインスリン欠乏例で使用。メトホルミンと併用して用量を減らす。

✅ メトホルミンが向いている患者

  • 初期の2型糖尿病と診断された方
  • 体重増加を避けたい方
  • 低血糖リスクを避けたい方
  • 生活習慣病を合併している方(高血圧、脂質異常症など)

メトホルミンは2型糖尿病の基本薬として、ほぼすべての治療段階で活用されます。
副作用(胃腸障害や乳酸アシドーシス)には注意しつつ、他薬との組み合わせや生活習慣の改善と併せた長期的視点の治療が重要です。

💊 メトホルミンと他の経口糖尿病薬との比較

2型糖尿病治療では、患者ごとのリスクや背景に応じて複数の薬剤が使い分けられます。ここでは、メトホルミン(ビグアナイド系)を中心に、代表的な経口薬との比較をまとめています。

薬剤分類 代表薬剤 作用機序 主な適応・使い分け 副作用・注意点
ビグアナイド系 メトホルミン 肝臓での糖新生抑制、末梢でのインスリン感受性改善 第一選択薬。肥満例、インスリン抵抗性、心血管リスクのある症例に 胃腸症状、乳酸アシドーシス(腎機能低下時)
グリニド系 ナテグリニドミチグリニド 食後インスリン分泌促進(速効型) 食後高血糖が目立つ例。高齢者や腎機能低下例に慎重使用 低血糖、頻回投与が必要
DPP-4阻害薬 シタグリプチンアログリプチン インクレチン分解酵素DPP-4を阻害し、GLP-1濃度維持 低血糖リスクが少なく、腎機能に応じて調整可能 膵炎リスク、皮疹(重篤な場合あり)
SGLT2阻害薬 ダパグリフロジンエンパグリフロジン 尿中へのブドウ糖排泄を促進(腎近位尿細管で作用) 心不全、CKD合併例、体重減少・血圧低下も狙いたいとき 尿路感染、脱水、ケトアシドーシス

メトホルミンは第一選択薬として最も多く用いられますが、単剤でのコントロールが難しい場合は、DPP-4阻害薬・SGLT2阻害薬・インスリンなどとの併用が一般的です。
✅ 各薬剤の副作用や患者のライフスタイル、合併症を考慮した個別最適化が重要です。

💊 メトホルミンの注意点・副作用・併用について

■ 服用に注意が必要な方

  • ⚠️ 腎機能が低下している方(eGFRの定期評価が必要)
  • ⚠️ 高齢者で脱水・栄養不足がある方
  • ⚠️ アルコールを多量に摂取する方(乳酸アシドーシスのリスク)
  • ⚠️ 妊娠中・授乳中の方(使用は慎重に)

■ 服用できない方(禁忌)

  • ❌ メトホルミンに対してアレルギーがある方
  • ❌ 重度の腎障害(eGFRが30未満)
  • ❌ 肝機能障害、心不全、呼吸不全のある方
  • ❌ 造影剤使用直前・直後(腎機能悪化リスクあり)

■ 主な副作用

比較的よくある副作用:

  • ・下痢、吐き気、腹痛などの胃腸症状
  • ・食欲不振
  • ・金属味を感じる

重大な副作用(まれですが注意が必要):

  • 乳酸アシドーシス(全身倦怠、過呼吸、意識障害など)
  • 低血糖(他剤との併用時)
  • 肝機能障害

■ 他のお薬との併用について

  • DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、インスリンと併用されることが多い
  • SU剤やグリニド系薬との併用では低血糖リスクに注意
  • 造影剤使用前後は一時中止が必要(腎機能悪化リスク)

■ 食事・生活上の注意

  • ・食後に服用することで胃腸障害を軽減できます
  • ・脱水を防ぐため、こまめな水分補給を心がけましょう
  • ・体調が悪いときや絶食時は服用を一時的に中止することも
  • ・定期的な血液検査(腎機能・肝機能)を忘れずに

メトホルミン(メトグルコ®・グリコラン®)は、2型糖尿病の第一選択薬です。
正しく使えば非常に安全で有用な薬ですが、副作用や併用薬、生活状況に応じた使い方が重要です。

■ メトホルミンのエビデンスと推奨事項

  • 血糖降下作用に加え、体重増加を伴いにくいことが複数の研究で示されており、2型糖尿病治療の第一選択薬とされています。
  • 心血管イベントのリスク低下に寄与する可能性があることがUKPDS34試験などで示唆されています。
  • 低血糖を起こしにくく、安全性が高い薬剤として、高齢者や肥満患者にも適応されやすいです。

■ 代表的なエビデンスと出典

✅ メトホルミンは世界中のガイドラインで2型糖尿病の第一選択薬と位置づけられており、血糖コントロールと心血管リスク低下の両面で高い有用性が認められています。
生活習慣の改善と組み合わせることで、長期的な健康管理に貢献する薬剤です。

🗣️ メトホルミンを使用した患者さんの声

食後の血糖値の上下が気になっていましたが、メトホルミンを始めてからは安定してきました。食後も眠くなりにくくなった気がします。
※これはあくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。

飲み始めた頃は少し下痢気味でしたが、食後に飲むようにしたら改善されました。今は特に問題なく使えています。
※これはあくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。

❓ よくある質問(FAQ)

食後に服用することで胃腸障害を軽減できます。1日2回または3回に分けて、朝食後・夕食後などに服用します。

気づいた時点で早めに服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分をスキップし、2回分まとめて飲まないようにしましょう。

下痢・吐き気・腹部不快感などの胃腸症状が比較的よく見られます。
また、まれに乳酸アシドーシスという重大な副作用が起こる可能性があるため、腎機能に異常がある場合は使用に注意が必要です。

はい。DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、インスリンなどとよく併用されます。
SU薬やグリニド系薬と併用する場合は低血糖のリスクに注意してください。

妊娠中のメトホルミン使用は状況により医師が判断します。
妊娠・授乳中の方や妊娠を予定している方は、必ず事前に医師にご相談ください。

はい。長期使用でも効果と安全性が確認されている薬です。
ただし、定期的な腎機能検査・肝機能検査を行いながら、主治医の指導のもとで継続してください。

💊 メトホルミン製剤の薬価と自己負担目安

製剤名 薬価(単価) 服用量(1ヶ月) 薬剤費(3割負担)
メトグルコ錠250mg 10.4円/錠 60錠(1日2錠) 約187円
メトグルコ錠500mg 10.4円/錠 30錠(1日1錠) 約94円
メトホルミン塩酸塩500mgMT錠(後発品) 10.4円/錠 30錠 約94円

■ 自己負担の目安(30日分)

  • メトグルコ錠250mg(1日2錠): 3割負担 → 約187円 / 1割負担 → 約63円
  • メトグルコ錠500mg(1日1錠): 3割負担 → 約94円 / 1割負担 → 約31円
  • 後発品500mg: 先発と同額の薬価(10.4円/錠)
  • ● ※薬剤費以外に診察料・調剤料・薬局管理料などが加算されます

✅ メトホルミンは糖尿病治療の基本薬として広く処方されており、後発品も含めてコスト負担が比較的少ないことが特徴です。
用法・容量・腎機能などに応じた適切な製剤の選択が大切です。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

メトホルミン(メトグルコ)
「メトホルミンは2型糖尿病の基本薬として非常に信頼性の高い薬剤です。
特に体重増加が気になる方や、心血管リスクの高い患者さまにおいては、第一選択薬として優先的に使用しています。」

当院では、腎機能・年齢・ライフスタイル・他剤併用・副作用リスクを十分に考慮し、メトホルミンの処方を行っています。
服薬による胃腸障害などが懸念される場合も、用量や服用タイミングを調整しながら安全に継続できるようサポートいたします。
ご不明点やご不安があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

監修:黒田揮志夫 医師(病理専門医/総合診療医)
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/糖尿病・生活習慣病診療における豊富な臨床経験

関連コラム

    ただいま準備中です。少々お待ちください。