結石の痛み対策|飲水・体位・鎮痛・自然排石率の目安
結石の痛み対策:飲水・体位・鎮痛・自然排石率の目安
側腹部~背中に走る“波のような激痛(疝痛)”。多くは尿管結石が原因です。ここでは、ご自宅でできる対処と受診の目安、自然排石率の目安を、医師監修で簡潔にまとめました。痛みが強い・発熱がある・嘔吐が続く場合は、迷わずご受診ください。
① まず知っておきたいこと(赤旗サイン)
尿管結石の痛みは、結石が尿の通り道をふさぎ、腎盂内圧が上がることで起きます。次の赤旗サインがあれば、すぐに受診・救急を検討してください。
- 発熱(38℃以上)・悪寒:腎盂腎炎のリスク。緊急評価が必要。
- 嘔吐が続く・水分がとれない:脱水・鎮痛内服困難。
- 痛みが全く引かない/増強:閉塞が強い・別疾患の可能性。
- 片腎・移植腎・妊娠中・高齢で体力低下:腎機能リスク。
② 飲水:どれくらい飲む?NGは?
- 目安:急性期は脱水回避を最優先。嘔気がなければ、コップ半分(100–150mL)を10–15分おきに少量頻回で。痛みが落ち着いたら総量1.5–2.0L/日を目標(心・腎に持病がある方は医師指示に従ってください)。
- NG:痛み最強期に一気飲みは悪化のことも。嘔吐時の強制飲水もNG。
- おすすめ:常温水・経口補水液。カフェイン・アルコールは利尿/脱水が強まりやすく控えめに。
③ 体位:痛みを和らげる姿勢のコツ
結石位置で“楽な姿勢”は異なりますが、次がよく用いられます。
- 側臥位(痛む側を上)+膝を軽く屈曲:腹圧を下げ腎被膜の緊張を和らげる狙い。
- 四つ這い~胸膝位:腎盂圧を相対的に下げる体位。数分~10分程度でこまめに体位変換。
- 温罨法(入浴/シャワー/蒸しタオル):筋緊張を緩める。長風呂は脱水注意。
④ 鎮痛:市販薬と医療機関で使う薬の違い
結石痛はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効なことが多いです。腎血行動態や前列腺素抑制を介し、腎盂圧を下げる作用が期待できます。
- 市販薬:ロキソプロフェン/イブプロフェンなど。空腹時は避ける・腎機能/胃腸障害/抗凝固薬内服の方は要注意。
- 医療機関:より強力なNSAIDs(坐薬/注射)や、状況に応じて鎮痙薬・オピオイド・点滴加療。嘔吐時は注射/点滴が有利。
- 抗菌薬:熱や尿所見で感染合併が疑わしければ培養を取り、セフトリアキソン等を適応に応じ選択(腎盂腎炎参照)。自己判断の抗菌薬内服はNG。
「手持ちの痛み止めをどれだけ飲んで良いか」などは、LINEでご相談ください(薬剤名・用量・既往歴をお知らせください)。
⑤ 自然排石率の目安(サイズ別)
画像で推定した最大径と位置(近位/遠位尿管)で変わりますが、おおよその目安は次のとおりです。
結石サイズ | 自然排石率の目安 | 排石までの目安期間 |
---|---|---|
~4 mm | 高い(70–90%程度) | 数日~数週間 |
5–6 mm | 中等度(50–70%程度) | 1–6週間 |
7–9 mm | やや低い(30–50%程度) | 2–8週間 |
≥10 mm | 低い(~20%程度) | 要専門評価(ESWL/URS検討) |
※目安であり、位置・形状(スピキュラ/楕円)・尿路解剖・症状/感染合併・職業(痛みが許容できない)などで方針は変わります。詳細解説ページで治療選択をご参照ください。
⑥ いつ受診・撮像が必要?
- 初回の強い痛み、または痛みが反復:尿検査・超音波、必要に応じCTで位置・サイズを把握。
- 発熱・悪寒・嘔吐:感染合併や腎機能低下の評価が必要。腎盂腎炎へ移行を防ぐ。
- 片腎・妊娠・高齢/基礎疾患あり:早期に専門判断。
⑦ 再発予防の基本(次の痛みを減らす)
- 水分:1.5–2.5L/日(汗をかく日は増量)。起床時・就寝前・運動前後にコップ1杯。
- 食事:塩分控えめ、動物性蛋白は適量。ほうれん草/ナッツ/濃い紅茶など高シュウ酸食は偏らないように。
- 検査:排石した場合は結石分析、再発例は尿中代謝評価を検討。詳細は結石ページへ。
⑧ よくある質問(Q&A)
痛みが治まったら受診しなくてもいい?
初回はサイズと位置の確認が大切です。結石が大きい・位置が悪いと再燃しやすく、感染合併は危険です。
市販薬で様子見する期間は?
強い痛みが繰り返す、熱・嘔吐がある、持病がある場合は即受診。そうでなくても数日内に一度評価をおすすめします。
仕事は休むべき?運転は?
鎮痛が効いている・嘔気がないことが前提。発作が読めないため、長距離運転は控えるのが無難です。
⑨ 関連ページ・検査・薬剤リンク
予約前チェック
- 痛みの部位・発症時刻・波がある/持続する
- 発熱/悪寒、嘔気/嘔吐、血尿の有無
- 腎・心・胃腸・抗凝固薬などの基礎情報
- 内服/坐薬の使用歴(薬剤名・時間・用量)
本コラムは一般情報であり、診断・治療方針は個別状態により異なります。痛みが強い/発熱/嘔吐などがある場合は受診してください。
監修:0th CLINIC 日本橋 泌尿器科
アクセス
日本橋・東京駅・茅場町・人形町・三越前から来院しやすい立地。Googleマップ(CID)で経路をご確認ください。雨天時は地下ルートもご案内可能です。