東日本大震災・能登地震から学ぶこと|災害と医療のコラム

東日本大震災・能登地震から学ぶこと|災害と医療のコラム|0th CLINIC 日本橋
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東日本大震災・能登地震から学ぶこと(コラム)

東日本大震災から年月が過ぎ、能登半島地震でもふたたび「医療の限界」と向き合うことになりました。
大きな地震のたびに、医療現場には共通した課題が浮かび上がります。医薬品・物資の不足、交通遮断による受診困難、慢性疾患の悪化や災害関連死、避難所・仮設住宅でのメンタル不調――。
このコラムでは、それらの教訓を振り返りながら、東京・日本橋の小さなクリニックだからこそ、今からできることを考えていきます。

全国の方に向けて、でも「日本橋から」発信したい理由
0th CLINIC 日本橋がお役に立てるのは、主に日本橋・東京駅・茅場町・人形町エリアの方々かもしれません。
それでも、ここで共有する視点やチェックポイントは、全国どこに暮らす方にも役立つと考えています。
東日本大震災 能登半島地震 医療現場の課題 慢性疾患の悪化 災害関連死 メンタルヘルス 地域クリニックの役割

※特定の地域・医療機関の状況を断定するものではなく、公開された報告や論文などから見える「傾向」をもとにした一般的な整理です。

このコラムの構成

1. 大震災が映し出した医療現場の課題

大地震の直後、テレビや新聞に映るのは、大きく壊れた建物や津波で流された街の姿です。
しかし医療の現場では、その「さらに先」の時間軸――数日後、数週間後、数か月後に生じる問題と向き合い続けていました。

① 医薬品・物資不足という慢性的な課題

東日本大震災でも、能登地震でも、被災地では外傷や急性期の治療が落ち着いたあとに、
「持病の薬が足りない」「インスリンが冷やせない」「透析が続けられない」といった課題が次々と報告されました。

  • 道路寸断や燃料不足により、薬や医療物資の補給が遅れる
  • 避難生活が長期化し、在宅酸素・透析・インスリンなど、日常的に必須な治療の継続が難しくなる
  • 薬の銘柄が変わったり、いつもと違う医療機関で処方されることによる混乱

② 交通遮断による「受診したくてもできない」状況

がれきで塞がれた道路、通行止めの橋、寸断された鉄道。
「病院に行けばなんとかなる」という前提が、物理的に崩れてしまう現実がありました。

  • 通院中のがん患者さんが、化学療法や放射線治療を中断せざるを得ない
  • 透析患者さんが、水や電力の確保された他地域の病院に移送されるまで、不安な時間を過ごす
  • 軽症なら「とりあえず我慢する」ことで、結果的に重症化してから受診するケース

首都圏でも、地震や液状化、大規模停電が起きれば、日本橋から数kmの距離であっても受診が難しくなる可能性があります。

イラスト案:
左側に被災地(道路が寸断され、救急車が立ち往生している様子)、右側に都市のビル群とクリニック。
その間を点線で結び、「薬」「情報」「人」が行き来するイメージを描く。

2. 慢性疾患の悪化と「災害関連死」という現実

大災害では、直接の外傷や津波だけでなく、その後の生活環境の変化によって命を落とす「災害関連死」も大きな問題になってきました。
持病を抱える方にとって、環境の変化は、ときに病気そのものと同じくらい大きな負担になります。

① 糖尿病・高血圧・心不全などの悪化

  • 薬が切れる、あるいは種類や飲み方が変わることでの血糖コントロール不良
  • 塩分の多い非常食・インスタント食品中心の生活による、血圧上昇や心不全の悪化
  • 寒さやストレス、睡眠不足が重なり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる

「とりあえず命が助かったあと」に、静かにじわじわと健康状態が悪くなっていく――。
こうした経過は、報告書や疫学研究のなかで繰り返し指摘されてきました。

② 長引く避難生活の中での体調変化

  • 狭いスペースでの生活による運動不足・血栓症のリスク
  • 入浴やトイレ事情の変化から、水分や食事を控えがちになる
  • 「忙しい医療現場に迷惑をかけたくない」と受診をためらい、症状が進行してから相談する
だからこそ、平時からの「持病×防災」が重要
0th CLINIC 日本橋の災害医療ページでは、
「持病がある人の災害対策」 として、糖尿病・高血圧・心疾患・抗凝固薬などの視点から、
具体的に準備しておきたいポイントを整理しています。

3. 避難所・仮設住宅で起きるメンタルの不調

災害直後は、誰もが「生き延びること」「家族の安否を確認すること」で精一杯です。
しかし時間が経つと、喪失感・将来への不安・人間関係のストレスがじわじわと心を削っていきます。

① 避難所という「非日常」が続くこと

  • プライバシーの少ない空間での生活
  • 騒音や明かりで十分に眠れない夜が続く
  • トイレや入浴のタイミングを周囲に気をつかいながら調整するストレス

こうした条件が重なると、心身ともに疲弊し、うつ状態・不安障害・睡眠障害などが顕在化しやすくなります。

② 仮設住宅・みなし仮設での「静かな孤立」

  • 顔なじみだった近所の人たちと離れ離れになる
  • 一見「普通の生活」に戻ったように見えても、仕事・家計・人間関係のストレスが重なる
  • 「自分よりつらい人がいる」と気持ちを押し殺してしまう

こうした背景のなかで、アルコール量の増加、自殺念慮、PTSDなどが問題になることも報告されています。

震災を経験した多くの医療者が口をそろえて語るのは、
「からだの不調」と「こころの不調」は切り離せない、ということです。
血圧や血糖の数字の裏側には、その人の生活史や、大切なものを失った痛みが必ず存在します。
イラスト案:
避難所の一角で、毛布にくるまって夜を過ごす人々。
そのうち一人の頭の上に、小さな雲のような吹き出しで「不安」「眠れない」などの言葉が浮かんでいるイラスト。

4. 東京・日本橋のクリニックが今できること

東北の沿岸でも、能登の半島でも、最前線で奮闘していたのは大病院だけではありません。
町の診療所、薬局、訪問看護ステーション――「ふだんから顔なじみだった場所」が、静かに地域を支えていました。
日本橋という大都市のど真ん中であっても、その役割は変わらないと私たちは考えています。

① 災害に強い情報発信

  • ホームページ・LINE公式・Googleビジネスプロフィールで、診療状況や受診の目安をできる限り統一して発信
  • 停電時・通信障害時を想定し、「ふだんからブックマーク・友だち登録をしておいてもらう」工夫
  • 災害時には、「今受診してほしい方」「後日にずらしてほしい方」をわかりやすく伝える

② 持病患者さんへの“平時からの教育”

  • 糖尿病・高血圧・心不全外来の診察のなかで、「災害時、食事がとれない・薬が足りないときの方針」を一緒に確認
  • 持病がある人の災害対策ページを読みながら、「自分バージョン」のチェックリストを作る
  • お薬手帳のコピーや、簡易の「防災手帳」ひな型をお渡しし、家族とも共有してもらう

③ 地域の医療機関・薬局とのゆるやかな連携

  • 日本橋・東京駅・茅場町・人形町エリアの病院・クリニック・薬局と、日頃から診療情報や紹介の流れを整理
  • 万一のときに、どの病院に重症患者さんを託すのか、ある程度のイメージを共有
  • 災害時だけでなく、平時の医療連携を通じて信頼関係を育てておく

④ 「美容医療も行う総合クリニック」として

0th CLINIC 日本橋は、内科・外科・皮膚科・泌尿器科に加え、美容皮膚科やメンズヘルス外来も行うハイブリッド型クリニックです。
美容医療をきっかけに、「ふだん病院に縁がなかった方」とつながることも少なくありません。

だからこそ、「美容の相談に来たつもりが、防災や健康の話も少し聞いて帰る」
そんなクリニックでありたいと考えています。

イラスト案:
日本橋の交差点を背景に、0th CLINICの建物が描かれ、
その周りに「病院」「薬局」「避難所」がアイコンで配置されている図。
クリニックから各アイコンへ、細い光の線が伸びているイメージ。

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