持病がある人の災害対策(糖尿病・高血圧・心血管など)|災害医療ガイド
持病がある人向け:
糖尿病・高血圧・心血管などの災害対策
糖尿病・高血圧・心不全・心筋梗塞後・不整脈で抗凝固薬を飲んでいる方など、持病がある人ほど災害時の影響を受けやすいと言われています。
このページでは、糖尿病/高血圧・心不全/抗凝固薬・抗血小板薬の3つの視点から、全国で共通する一般的なポイントを、日本橋・東京駅・茅場町・人形町エリアの医療機関として整理しました。
ここに書かれている内容はあくまで一般的な目安です。実際には、それぞれの病状・お薬の種類によって適切な対応は変わります。
必ず、かかりつけ医と相談したうえで、ご自身の「マイ災害対策」を一緒に作っておきましょう。
※このページは医療的アドバイスの「代わり」ではありません。急な体調変化や対応に迷う場合は、医療機関や救急相談窓口にご相談ください。
1. 糖尿病の方の災害対策
糖尿病の方は、インスリンや内服薬が切れること・低血糖・高血糖が大きなリスクになります。
特にインスリン・GLP-1作動薬を使っている方は、保存方法と量の確保を「平時から」考えておくことが大切です。
① インスリン・GLP-1製剤の保存の基本
- 多くの製品は「未開封は冷蔵(2〜8℃)」「開封後は一定期間は室温でも可」など、製剤ごとに細かなルールがあります。
- 停電時に備え、保冷バッグ・保冷剤・温度計を防災セットに入れておくと安心です。
- ただし「凍らせる」のは避けてください(品質が損なわれることがあります)。保冷剤はタオル越しにするなど工夫を。
- どのくらいの温度・期間まで使用してよいかは、必ず製品の説明書・主治医・薬剤師で確認しておきましょう。
※インスリン・GLP-1製剤は、見た目では劣化がわかりにくいことがあります。「ギリギリまで使う」のではなく、余裕を持って管理することが大切です。
② 低血糖リスクと、食事量が減ったときの注意
- 避難所生活や在宅避難では、食事の時間・内容が不規則になりがちです。
- 普段どおりの量の薬やインスリンを使うと、低血糖を起こすリスクが高まることがあります。
- 一方で、自己判断で急に減量・中止すると高血糖・ケトアシドーシスなどのリスクがあります。
・「食事が半分以下しか取れないとき」「ほとんど食べられないとき」に、どの薬をどのくらい調整するか
・低血糖が疑われたときの対処(ブドウ糖・ジュース・ラムネなどを何g目安で摂るか)
・夜間や一人のときに低血糖が不安な場合の相談先
③ 災害用に準備しておきたい「糖尿病セット」
- インスリン・ペン・針・血糖測定器・センサー(CGM・FGMなど)
- ブドウ糖タブレット・砂糖入り飲料(小さめの紙パックなど)
- お薬手帳・インスリンの種類と用量を書いたメモ
- かかりつけ医・病院・薬局の連絡先
防災リュックの横に、インスリンペン・血糖測定器・ブドウ糖タブレット・お薬手帳が並んでいるイラスト。
「Diabetes」「災害用セット」などのラベルを小さく入れる。
2. 高血圧・心不全など心血管疾患の災害対策
高血圧・心不全・心筋梗塞後・不整脈などの方は、「薬を切らさない」+「塩分と水分バランス」が大きなポイントになります。
① 利尿薬・降圧薬を切らさない工夫
- 処方が切れるギリギリではなく、1〜2週間分の余裕を持って次回処方を受ける習慣をつける。
- 旅行や出張・帰省の際には、余分に1週間分程度を持っておくことも検討。
- お薬手帳だけでなく、薬の名前・1日量・飲むタイミングを紙にも書いて防災セットに入れておく(後述の防災手帳)。
- 利尿薬・降圧薬は、脱水や腎機能低下時に調整が必要な場合があります。災害時の「一時的な調整の方針」を、主治医と事前に確認しておきましょう。
② 非常食と塩分:カップ麺・レトルトへの注意
非常食はどうしても、塩分・糖分・脂質が多めのものが中心になりがちです。高血圧・心不全の方は、次のような工夫が役立ちます。
- カップ麺やインスタントスープは、全部飲み干さずに「汁は残す」だけでも塩分をかなり減らせます。
- レトルトカレーや丼の素は、ご飯の量をやや控えめにしたり、2回に分けて食べるなどで調整。
- 無塩クラッカー・レトルト白飯・塩分控えめスープ・缶詰フルーツなど、比較的塩分が少ないストックも混ぜておく。
- むくみ・急な体重増加・息切れなど、心不全の悪化サインがあれば、早めに医療機関へ相談。
※透析中の方や高度の腎機能障害がある方は、さらに厳密な水分・塩分管理が必要です。必ず主治医と個別の災害対策を決めてください。
3. 抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる方の注意点
心房細動・心筋梗塞後・ステント治療後などで、ワルファリン・DOAC(直接経口抗凝固薬)・アスピリン・クロピドグレルなどを飲んでいる方も多くいらっしゃいます。
災害時は、「出血」と「勝手に薬を止めるリスク」の両方に注意が必要です。
① 明らかな出血時の対応
- 強い頭部打撲後の頭痛・吐き気・ふらつき・意識がぼんやりする
- 止まりにくい鼻血(10〜15分しっかり押さえても止まらない)
- 皮膚の下に急に広がる紫斑・あざが次々と出てくる
- 血を吐く・コーヒー残渣様の吐物・黒いタール状の便・鮮血便
上記のような症状がある場合は、救急車を含めた受診を早めに検討してください。
その際、薬の名前・用量・最後に飲んだ時間を救急隊や医療機関に伝えられると、対応がスムーズになります。
② 薬を自己判断で止めないリスク
・心房細動の方では、脳梗塞のリスク上昇
・ステント治療後の方では、ステント血栓症による心筋梗塞 など
生命に関わるイベントにつながるおそれがあります。
出血が心配だからといって、自己判断で数日〜数週間やめてしまうのは危険です。
「どうしても心配・出血しやすくなった気がする」という場合は、かかりつけ医や近隣の医療機関に相談し、減量・一時中止・別薬への変更などを含めて判断してもらいましょう。
③ ワルファリンを飲んでいる方のポイント
- INR測定がしばらくできなくなる可能性を考え、普段のINRの目標値や最近の値を書いておくと安心です。
- 納豆・青汁などのビタミンKを多く含む食品は、災害時に急に摂取量が変わると、効き方が変化することがあります。
- 「もししばらくINRが測れない場合にどうするか」を、主治医と話し合っておくと安心です。
4. 0th CLINICとしてできること(防災手帳など)
0th CLINIC 日本橋では、持病がある方ほど災害への不安が大きいことを踏まえ、「平時から一緒に備える」ことを大切にしたいと考えています。
① 「防災手帳(医療版)」のひな型
たとえば、次のような項目をA4一枚程度にまとめた「防災手帳」を作ることを想定しています。
- 氏名・生年月日・連絡先
- 主な病名(例:2型糖尿病・高血圧・心不全・心房細動など)
- 現在飲んでいる薬・量・飲む回数(インスリン・GLP-1製剤・内服薬を含む)
- アレルギー歴(薬剤・食物・造影剤など)
- かかりつけクリニック・病院・薬局の名前と電話番号
- ペースメーカー・ICD・ステント・人工弁などの有無
- 緊急時に連絡してほしい家族・友人の連絡先
紙の手帳として防災リュックに入れておくと同時に、スマートフォンのメモ・写真としても保存しておくと安心です。
② 通院時に「災害時の持病管理」の簡単な説明
・糖尿病外来や高血圧外来の診察の中で、5分ほど「災害時の注意点」を一緒に確認する
・必要に応じて、「食事が取れないとき」「薬が足りなくなりそうなとき」の大まかな方針を書面でお渡しする
・今後、院内やWebサイトからダウンロードできる「防災手帳ひな型」を整備していく
診察室で、医師と患者さんが「防災手帳」を見ながら話しているイラスト。
机の上にはお薬手帳・防災リュックのミニチュア・血圧計などが描かれている。
5. 関連ページ・内部リンク
持病がある方の災害対策は、「平時の備え」+「発災直後の行動」+「自分でできる応急処置」+「トリアージの理解」とセットで考えると整理しやすくなります。
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