メンズヘルス検査ガイド|基準値と頻度(TRT/筋肉増強/ED)
メンズヘルス:検査・基準値・頻度
TRT(テストステロン補充)や筋肉増強外来、ED外来で実際に用いる検査を、目的別に整理しました。
参考基準値と推奨頻度、採血タイミングのコツまで、これ1ページで確認できます。
前提:基準値は検査機関・年齢・条件で変わります
下表の数値は参考域です。検査会社・年齢・採血条件(朝/夕・空腹/食後・投与間隔)で変動します。
解釈は必ず症状・身体所見・既往薬とあわせて行います。
初回(ベースライン)パネル
検査項目 | 参考基準値(男性) | 目的 |
---|---|---|
総テストステロン(T) | 約 300–1000 ng/dL | 男性ホルモンの総量。低値で性腺機能低下を示唆。 |
遊離テストステロン(Free T) | 約 5–25 pg/mL | 生物学的活性画分。症状との相関に有用。 |
SHBG | 約 10–57 nmol/L | Tの結合蛋白。年齢・甲状腺・肝機能で変動。 |
LH / FSH | LH 約 1.8–8.6 / FSH 約 1.5–12.4 mIU/mL | 原発性/中枢性の鑑別、挙児希望時の評価。 |
エストラジオール(E2) | 約 10–40 pg/mL | 過剰→女性化乳房・むくみ、低すぎ→関節痛/骨代謝低下。 |
プロラクチン | 約 4–15 ng/mL | 高値は性欲低下やEDに関与。器質疾患の除外に。 |
血算(Hb/Ht/白血球/血小板) | Hb 13.5–17.5 g/dL / Ht 40–52% | 多血症・貧血の評価(TRTでHt上昇に注意)。 |
肝機能(AST/ALT/γ-GT) | 施設基準に準拠 | 薬剤影響・飲酒・NAFLDの評価。 |
腎機能(Cr/eGFR/尿蛋白) | 施設基準に準拠 | 腎血流/薬剤用量調整の参考。尿Alb/Cr比も推奨。 |
脂質(LDL/HDL/TG/Non-HDL) | LDL<120 / TG<150 mg/dL など | 動脈硬化リスク。TRTやアナボリックで変化しやすい。 |
糖代謝(空腹時血糖/HbA1c/±インスリン) | HbA1c 4.6–5.6% 目安 | メタボ・体組成変化の影響を可視化。 |
PSA(前立腺特異抗原) | 約 0–4.0 ng/mL(年齢補正あり) | 40歳以上や家族歴ありで推奨。TRT前後の比較に。 |
甲状腺(TSH/FT4) | TSH 0.4–4.0 μIU/mL | 倦怠感・性機能・脂質への影響を鑑別。 |
ビタミンD(25(OH)D) | ≥30 ng/mL 目安 | 骨・免疫・筋力。低値が多い栄養指標。 |
関連:テストステロン補充外来 / アナストロゾール / クロミッド / hCG
TRT中の検査と頻度
時期 | 検査 | ポイント |
---|---|---|
開始前(ベースライン) | 上記フルパネル+PSA(必要群) | 治療適応と禁忌の確認。 |
開始後 6–8週 | 総T/Free T/SHBG/E2、血算(Ht)、肝腎、脂質、±PSA | 用量調整の初回チェック。Ht上昇やE2過剰を早期検出。 |
3–6か月 | 同上+症状評価 | ガイドラインに準じてT・Ht・PSAを見直し。 |
以後 安定時 | 3–6か月ごと:T/E2/Ht/肝腎/脂質、年1回:PSA | 症状・副作用に応じて間隔を可変。 |
- ヘマトクリット(Ht)≥54%:減量・休薬・瀉血などを検討。
- E2高値で症状(女性化乳房・むくみ等):AI導入も、低E2の骨関節リスクに注意。
- PSAが短期間に大きく上昇:泌尿器科と連携し精査。
挙児希望・PCT(hCG/クロミッド)
筋肉増強(アナボリック使用)時の安全管理
- 初回:ベースラインフルパネル+CK(筋逸脱)、血圧評価。
- 頻度:4–8週ごとに血算/肝腎/脂質/T/E2、症状により短縮。
- LDL上昇・HDL低下が目立つ場合、食事・運動・サプリ/薬剤調整。EPAなどを併用検討。
- AST/ALTやCKが著明高値の場合は休薬・精査。
ED外来:併存症スクリーニング
EDは生活習慣病・動脈硬化のサインであることが多く、脂質・糖代謝・甲状腺・テストステロン・プロラクチン・腎肝機能を確認。必要に応じて
動脈ドックも併用します。
薬剤(PDE5阻害薬)の処方前に禁忌薬・心血管リスクを確認します。
採血タイミングのコツ
- 朝(7–11時)・できれば空腹で採血(Tの概日リズム対策)。
- テストステロン注射(エナンテート/サスタノン):
週1投与→次回投与直前(トラフ)で測定/隔週→中間〜トラフで一貫して測る。 - 外用ゲル:塗布2–6時間後のピーク付近で毎回同条件。
- 測定条件を毎回そろえると調整がスムーズです。
検査セットと料金
セット | 内容 | 料金(税込) |
---|---|---|
Baseline | T/Free T/SHBG/LH/FSH/E2/PRL、血算、肝腎、脂質、糖代謝、TSH/FT4、±PSA | お問い合わせください |
TRT Follow | T/Free T/E2/SHBG、血算(Ht)、肝腎、脂質、±PSA | お問い合わせください |
Fertility/PCT | LH/FSH/T/Free T/E2、精液検査、血算/肝腎/脂質 | お問い合わせください |
Anabolic Safety | T/E2、血算、肝腎、脂質、CK、±CRP | お問い合わせください |
よくある質問
基準値から外れていても症状がなければ問題ありませんか?
症状や既往・投薬、過去のデータ推移とあわせて判断します。単回の外れ値のみでは結論できません。
どのくらいの間隔で検査すべき?
TRT導入後は6–8週、その後3–6か月ごとが目安。安定後は6–12か月に延長します。
食事・サプリの影響はありますか?
ビオチン、亜鉛、マグネシウム、プロテイン等が甲状腺/肝腎/脂質に影響することがあります。事前にご申告ください。
検査だけお願いできますか?
可能です。結果は当院で解釈し、必要に応じて治療や生活指導をご提案します。
医療監修

医療法人aube 理事長 / to clinic shibuya 院長
荘子 万可(そうし まーく)
泌尿器科・男性医療の専門医として、ビジネスパーソンの健康維持とパフォーマンス向上に一気通貫の医療支援を追求し、渋谷・東京で診療にあたる。
荘子 万可(そうし まーく)
泌尿器科・男性医療の専門医として、ビジネスパーソンの健康維持とパフォーマンス向上に一気通貫の医療支援を追求し、渋谷・東京で診療にあたる。
- 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
- 日本抗加齢医学会 専門医
- テストステロン治療認定医
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