セフポドキシム(Cefpodoxime)|泌尿器での使い方・用量・腎機能調整・注意点
セフポドキシム(Cefpodoxime proxetil)|第三世代セフェム経口薬
急性単純性膀胱炎などで用いられる経口第三世代セフェム。培養・感受性結果に基づく適正使用を重視します。食後投与で吸収が安定。
1. 概要・位置づけ
セフポドキシム プロキセチル(Cefpodoxime proxetil)は第三世代セフェム系の経口抗菌薬です。グラム陰性桿菌(例:E. coli)に一定の活性を持ち、急性単純性膀胱炎を中心に使用されます。 一方、前立腺炎など組織移行性が重要な病態では第一選択になりにくく、ニューキノロンやST合剤を培養・感受性に基づき検討します。
※ 地域・時期により耐性率は変動します。尿培養・感受性結果でのデエスカレーションを推奨。
2. 泌尿器での主な適応
- 急性単純性膀胱炎(女性)
- 急性複雑性UTIの一部でのステップダウン(培養結果で有効性確認できる場合)
- 尿路感染症の再発抑制には通常用いません(耐性化リスク)
※ 急性腎盂腎炎/高熱や悪寒戦慄など全身症状を伴う場合は、セフトリアキソン等の静注治療・連携入院を含めて個別判断。
3. 用量・投与方法(成人)
適応 | 通常用量 | 期間の目安 | 補足 |
---|---|---|---|
急性単純性膀胱炎 | 100 mg 1回、1日2回(朝夕)食後 | 3〜5日(症状・培養で調整) | 食後投与で吸収↑。自己中断は再発・耐性化の原因。 |
複雑性UTIのステップダウン | 100〜200 mg 1回、1日2回 食後 | 7日程度(個別) | 感受性一致時のみ。重症例は静注継続を検討。 |
小児・高齢者は個別調整。処方は医師の診察に基づき決定します。
4. 腎機能別調整
推定CrCl/eGFR | 調整目安 |
---|---|
≥ 30 mL/min/1.73m² | 通常用量(1日2回) |
< 30 mL/min/1.73m² | 投与間隔を1日1回へ延長など(個別調整) |
透析 | 個別設計(透析後追加投与などを検討) |
5. 相互作用
- 制酸薬・H2ブロッカー:胃内pH上昇で吸収低下。2〜3時間あける。
- プロベネシド:腎排泄阻害で血中濃度上昇。
- ワルファリン等:腸内細菌叢変化でINR変動の可能性。凝固能をモニター。
- 強いβラクタムアレルギー既往:交叉反応に留意。投与前に詳細確認。
6. 副作用・注意
- 胃腸症状(悪心・下痢)、発疹、肝機能値上昇
- 偽膜性大腸炎など重篤な下痢:持続する下痢は受診
- 自己判断の中断・再開は耐性化・再発の原因
抗菌薬は症状が軽快しても処方どおりに内服を。抗生剤の副作用ページもご参照ください。
7. 妊娠・授乳
妊娠・授乳中は必ず事前にご申告ください。セフェム系は比較的安全性が知られていますが、利益とリスクの比較衡量が必要です。
PCの方はQRコードからスマホで予約
持ち物:現在の症状メモ、既往歴と内服薬、健診結果や直近の検査(あれば)
8. よくある質問
- Q. 食前でも大丈夫?
- A. 食後のほうが吸収が安定します。基本は食後で。
- Q. 何日で効きますか?
- A. 膀胱炎なら通常1〜2日で症状軽快が始まりますが、指示日数は守ってください。
- Q. 前立腺炎にも使えますか?
- A. 組織移行の観点から第一選択ではありません。培養・感受性と症状で他剤(例:ニューキノロン、ST合剤)を検討します。
- Q. 市販の胃薬と一緒に飲んでいい?
- A. 制酸薬・H2ブロッカーは吸収を下げます。2〜3時間あけてください。
- Q. 再発を繰り返します…
- A. 生活習慣・婦人科要因・性交関連UTIなどの評価が有用です。再発性膀胱炎の対策をご参照のうえご相談ください。
9. 関連ページ
【免責】本ページは一般情報です。診断・処方は個別の診察に基づきます。抗菌薬の自己判断内服はお控えください。
【当院方針】培養・感受性検査の結果に応じて、より狭域な薬へデエスカレーションを行います。