コラム

夜勤・交代制でも崩さない糖尿病コントロール|食事・運動・睡眠の実務ガイド(医師監修)

夜勤・交代制でも崩さない糖尿病コントロール|食事・運動・睡眠の実務ガイド(医師監修)|0th CLINIC 日本橋

夜勤・交代制でも崩さない糖尿病コントロール
— 食事・運動・睡眠の“実務ガイド”(医師監修)

看護・介護、製造、物流、IT運用、警備…
夜勤・交代制は、血糖を乱しやすい勤務形態です。
本コラムは糖尿病総合ページの“生活実装版”。
薬の選択は糖尿病治療薬へ委ね、本稿では今日からできる具体策に絞ります。

1. なぜ夜勤で血糖が乱れる?(ポイント3つ)

  1. 体内時計とホルモンのズレ:夜間は本来“休む設計”。同じ食事でも日中より血糖が上がりやすい。
  2. 食事の間隔がブレる:まとめ食い・深夜の高脂質で食後高血糖→長引く高血糖
  3. 睡眠不足・ストレス:インスリン抵抗性が高まり、過食や間食の誘因に。

※病態の全体像は 2型糖尿病 を参照。

2. 食事:タイミングと量のルール(例メニュー付き)

  • “分割”が基本:夜勤中は小分け(2〜3回)に。一度に満腹はNG
  • 順番食:最初に野菜・たんぱく→主食。汁物を先に。
  • 高脂質・揚げ物を控える:深夜は脂質で高血糖が長引く
  • 炭水化物は“質と量”:白パン/菓子パンより、おにぎり(雑穀)・玄米小盛
  • 水分・電解質:カフェインの利尿に注意。こまめな水分補給。

例:準夜勤(16:00–24:00)のパターン

時間 内容
勤務前(15:00) 軽食:サラダ+鶏むね/ゆで卵+おにぎり小
休憩1(19:00) 味噌汁 or スープ+ヨーグルト無糖+ナッツ少量
休憩2(22:30) おにぎり小+サラダチキン/枝豆

※胃腸症状が強い方は、GLP-1作動薬の増量期/副作用も考慮。薬剤の話は 糖尿病治療薬 へ。

3. 運動:少量多頻度で“食後10分”を刻む

  • 食後10分歩行:各休憩で10〜15分の早歩き。合計30分を目安に。
  • 職場内でできる下半身運動:椅子スクワット/つま先立ち。1セット1–2分を複数回。
  • 連続でなくてOK:合算で“トータル”を作る発想。

4. 睡眠・仮眠・カフェイン:実務の落とし穴

  1. 仮眠は20–30分:深い眠りに入らない範囲で。起床後は強い光でリセット。
  2. カフェインはタイミング管理:勤務後3–4時間は控え、帰宅後の入眠を妨げない。
  3. 帰宅後の朝食は軽く:糖質は小盛+たんぱく質。シャワー→遮光→入眠へ。

※いびき/日中の強い眠気がある方は 睡眠時無呼吸と糖尿病 を参照。

5. 低血糖を避ける:持ち物・サイン・対処

持ち物

  • ブドウ糖(15g単位)/ゼリー飲料
  • 社員証裏などに“糖尿病・緊急連絡先”カード
  • 水・電解質飲料

サイン

冷汗・手指ふるえ・動悸・空腹・集中困難。
疑ったら即15g糖補給→15分後再測

6. 薬物療法の考え方(勤務形態に合わせる)

  • 低血糖リスクの再点検:SU薬/インスリン使用者は勤務表に合わせて用量/タイミング調整を。
  • GLP-1/SGLT2 など:夜勤での食事変動・体重増加対策に有用なことも。詳細は 糖尿病治療薬 を参照。
  • 脱水リスク:SGLT2使用中は発熱・嘔吐/下痢時の内服一時中止も含め、HHS を常に意識。

7. 夜勤前チェックリスト(保存版)

  • 勤務前に軽食(野菜+たんぱく+主食小)。
  • ブドウ糖・ゼリー飲料・水分・緊急連絡カード。
  • 休憩ごとに食後10分歩行のタイミングを決めておく。
  • 仮眠は20–30分、復帰時は強い光で目覚まし。
  • 勤務後3–4時間はカフェインを控える。

8. 受診の目安(当院の受け皿)

以下のいずれかに当てはまる場合は、早めにご相談ください。

  • 夜勤のある週は食後高血糖が続く、または低血糖が増えた
  • 体重増加/睡眠障害/日中の強い眠気。
  • 足のしびれ・むくみ・傷が治りにくい(神経障害 / フットケア)。
  • 歯ぐきの腫れ・出血(歯周病と糖尿病)。

医師が勤務形態に合わせた検査・治療・生活プランを調整します。

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9. FAQ(よくある質問)

Q. 夜勤のたびにHbA1cが悪化します。

A. HbA1cは“平均”の指標で乱高下を映しにくいことがあります。夜勤週の食後高血糖/低血糖を把握するため、必要に応じて持続測定や頻回自己測定を検討します。薬の細かな調整は診察で。

Q. 深夜の空腹は何で満たす?

A. たんぱく+少量の主食(例:サラダチキン+おにぎり小、無糖ヨーグルト+果物少量)。揚げ物や菓子パンは避けましょう。

Q. 低血糖が怖いです。

A. SU/インスリン使用中は勤務に合わせた用量/タイミングの見直しが重要です。ブドウ糖(15g)携帯と“15-15ルール”を習慣化してください。重症低血糖は至急受診を。

👨‍⚕️ 医師監修

夜勤・交代制でも崩さない糖尿病コントロール|食事・運動・睡眠の実務ガイド(医師監修)

黒田 揮志夫(Kishio Kuroda, MD, PhD)|0th CLINIC 日本橋 院長(病理学/総合診療)

本コラムは、勤務実態に合わせた“実務Tips”に特化しています。薬剤の詳細は各薬ページへ、病態の解説は疾患ページへ分離し、重複(カニバリ)を避けています。

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