Lp(a)(遺伝性リスク)|一生に一度は確認したい
Lp(a)(遺伝性リスク)|一生に一度は確認したい
Lp(a)は遺伝性が強く、生涯ほぼ一定。
測るべきタイミングと結果の活かし方を整理し、LDL/ApoB/非HDLと組み合わせてリスクを最適化します。
生涯ほぼ一定 → 原則は“一生に一度”の測定で十分(状況により再評価)。
非空腹でも測定しやすい。採血条件を揃えると比較が容易。
生活での低下は限定的。LDL/ApoB/非HDLの達成を優先し、必要に応じて注射製剤などを検討。
Lp(a)とは?一生に一度は確認したい理由
Lp(a)(エルピーエー)は、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールに似たタイプの脂質で、もともと遺伝で決まる値です。 一度測れば基本的に一生ほとんど変わらないため、「一生に一度は調べておくべき項目」と言われています。
- 動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞の独立したリスク因子とされています。
- Lp(a)の構造には、血液を固める・溶かす仕組みに関係する成分が含まれており、血栓(血のかたまり)をできやすくする方向に働くことがあります。
- 値は遺伝でほぼ決まっており、食事や運動では変化しません。(運動療法や食事制限で下がる項目ではありません)
- 妊娠・閉経・大きなけがや手術などのタイミングでは、一時的に数値が上がることがあります。
以前は、Lp(a)が高くても下げる治療法がほとんどなく、あまり注目されていませんでした。 しかし近年では、注射薬(PCSK9阻害薬など)で数値を下げられることがわかり、 「LDLを下げてもリスクが残る人(残余リスク)」を見つける重要な検査として再び注目されています。
一方で、Lp(a)の測定方法はまだ完全に統一されていません。検査試薬によって差が出ることもあるため、 軽度高値の場合には再検査や別の検査会社での確認を行う場合もあります。
当院でのLp(a)測定は自費検査となります。
健診で異常があった方、家族に心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方、
LDLが十分に低くても動脈硬化が気になる方などにおすすめしています。
まとめ:
Lp(a)は、運動や食事では変えられない“生まれつきのリスク”です。
だからこそ、一度測定して自分の体質を知り、LDLやApoBなど他の指標と合わせて
将来の心臓・血管のリスクを予防していくことが大切です。
Lp(a)を測ると良い場面
- 若年の家族に心筋梗塞・脳梗塞などの家族歴がある
- LDLが低いのに動脈硬化が進んでいる所見がある
- 早発性ASCVDの既往、または画像検査で高リスク所見
- 高TG/小粒子LDLが疑われる(ApoB・非HDLも併用)
- 治療方針の最適化(注射製剤などの適応検討を含む)
- 非空腹採血が多い(再現性の確保)
Lp(a)が高いときの治療・予防は“総合設計”で
まず優先すること(現時点の標準)
- LDL/ApoB/非HDLの到達:スタチン/エゼチミブ等で“基盤リスク”を下げる
- PCSK9阻害薬の検討(エボロクマブ/アリロクマブ):
LDLを大きく下げ、Lp(a)も平均で約20–30%低下が期待できます※ - 禁煙・血圧・血糖・体重・睡眠など、全身リスクの最適化
※ Lp(a)の下がり方には個人差があります。具体的な適応・費用は診察でご説明します。
生活でできること(誤解しやすいポイント)
- Lp(a)は遺伝で決まりやすく、食事や運動では下がりにくい
- ただし、他の指標(LDL/TG)は生活で改善可能 → 総合リスクは下げられます
- 治療や生活を変えた後は、2〜3か月で再評価(採血条件を近づけると比較しやすい)
近年の進歩:Lp(a)を狙い撃ちする新しい治療
siRNA注射薬(オルパシラン等)
肝臓でのLp(a)産生を抑える仕組み。
50〜90%前後の大幅低下が報告。効果が長く続くタイプもあります。
高リスクの方の心血管イベント抑制効果を検証中です。
アンチセンス注射薬(ペラカールセン)
Lp(a)の設計図(mRNA)を狙って低下。
大規模な最終段階試験が進行中で、心血管イベント抑制の確認が待たれています。
経口薬(ムバラプリン等)
飲み薬でLp(a)を下げる新しい発想。
中等度〜大幅な低下が報告されており、今後の実用化が期待されています。
※ いずれも国内適応・保険収載は未定の段階を含みます。最新状況は受診時にご説明します。
今後の検査と治療の展望(当院の流れ)
- まずは測る:当院のLp(a)自費検査で体質を把握(非空腹でも可)
- 総合評価:LDL/ApoB/非HDL・血圧・血糖・喫煙・家族歴を合わせてリスク層別化
- プラン設計:生活×内服(スタチン/エゼチミブ)± PCSK9阻害薬を検討
- フォロー:2〜3か月後に再検。必要に応じて注射薬や新規治療の適応を随時評価
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👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「Lp(a)は遺伝性の強い“隠れリスク”です。
一生に一度は把握しておくと、その後の方針設計が明確になります。」
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)
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