動脈硬化の“見える化”|頸動脈エコー・CACS(冠動脈石灰化スコア)

動脈硬化の“見える化”|頸動脈エコー・CACS(冠動脈石灰化スコア)|0th CLINIC 日本橋

動脈硬化の“見える化”|頸動脈エコー・CACS

要約:頸動脈エコー(IMT・プラーク)とCACS(冠動脈石灰化スコア)は、動脈硬化の進行度を可視化し、治療強化や生活介入の意思決定をサポートします。 どんな人に有用か、どう選ぶかを専門医の視点で解説します。

① 客観的に可視化

IMT・プラーク/CACSを用い、リスク層別化や治療強化の根拠を明確に。

② “数値は良好”でも確認

LDL達成でも家族歴・糖尿病・喫煙などがあれば残余リスクの把握に。

③ 個別化の指針

生活・薬物療法の優先順位とフォロー間隔を調整。

検査の基礎と読み方

頸動脈エコー(IMT・プラーク)

  • 非侵襲・被ばくなし。壁肥厚(IMT)やプラーク性状を観察。
  • 全身の動脈硬化の代理マーカーとして有用。
  • フォローで進行/安定の方向性を確認しやすい。

CACS(冠動脈石灰化スコア)

  • 低線量CTで冠動脈の石灰化量を数値化(Agatston)。
  • 将来の心血管イベントリスクの層別化に役立つ。
  • 無症候でも治療強化の根拠になりうる。

※ 解釈は年齢・性別・既往・喫煙歴・糖尿病・腎機能などを総合して行います。妊娠の可能性がある場合はCT検査の可否をご相談ください。

どんな人に有用?(目安)

  • 境界〜中等度リスクで治療強化の是非に迷う
  • 家族歴が強い/若年からの脂質異常/糖尿病・CKD・喫煙歴などリスクが累積
  • LDLは達成しているのに残余リスクが心配(TG高値・非HDL↑・ApoB↑ など)
  • 生活介入のモチベーション可視化(画像で理解を深めたい)

画像で“何がわかり”、どう対策する?

① わかること(要点)

  • 動脈硬化の進行度の可視化:頸動脈エコーでIMT/プラークの有無・性状を確認
  • 冠動脈リスクの層別化:CACS(Agatston)で冠動脈の石灰化量を数値化
  • 残余リスクのヒント:数値(LDL達成)だけでは拾いにくい“見落とし”を補完
  • 行動変容のきっかけ:画像で“見える化”することで生活改善の動機づけ

② 対策(次のアクション)

  • 生活:体重・食事(飽和脂肪/超加工の見直し)・活動量・禁煙・睡眠の優先順位を調整
  • 薬物療法:スタチン±エゼチミブ等の強度最適化ApoB/非HDL到達度を確認
  • フォロー:所見に応じて再評価間隔(1〜数年)を設定
  • 合併因子:血圧・糖代謝・腎機能・喫煙歴など全体管理に反映

家族歴が強い方へ

若年からの発症家系や突然死の家族歴がある場合、LDL達成でも画像での裏付けが安心材料になります。 CACSが高ければ治療強化、頸動脈プラークが進行性なら生活・薬の優先度を再設定します。

健診で“異常”と言われた方へ

LDL高値・非HDL↑/ApoB↑・TG高値などがあれば、画像で現在地を確認し、 介入の開始タイミング強度を決めます。数値改善後の再画像も有用です。

眼底鏡(眼底検査)の導入予定について

当院では、動脈硬化の全身評価の一環として眼底検査(眼底写真/眼底鏡)の導入を検討しています。 眼底は微小血管の状態を直接観察でき、糖尿病・高血圧・動脈硬化の血管ダメージの手掛かりになります。 実施開始時期が決まり次第、当ページでご案内いたします。

検査の選び方(実務フロー)

  1. 基礎評価:LDL/HDL/TG・非HDL・ApoB・血圧・糖代謝・喫煙歴・家族歴
  2. 画像の適応判断:境界〜中等度リスクや家族歴強い場合は頸動脈エコーやCACSを検討
  3. 結果で方針最適化:生活介入/薬剤(スタチン±エゼチミブ等)の強度と目標を調整
  4. 再評価:治療変更後1〜数年で画像または血液指標を再チェック

当日の流れと準備

  • 診察・カウンセリング:既往歴と目標設定を確認
  • 頸動脈エコー:ゼリーを用いた超音波検査(被ばくなし)
  • CACS:必要時は連携施設で低線量CTを実施
  • 結果説明:画像と血液指標を統合し、治療と生活改善の優先順位を提案

※ CACSは被ばくを伴います。妊娠の可能性がある場合は実施可否を事前にご相談ください。

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👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

動脈硬化の“見える化”|頸動脈エコー・CACS(冠動脈石灰化スコア)
「画像で“見える化”することで、生活改善や薬物療法の優先順位を患者さんと共有できます。 ApoB・非HDLなどの血液指標と組み合わせ、続けられる計画に落とし込むことが大切です。」
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/外科病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)

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