前立腺炎(慢性骨盤痛症候群):長引く会陰痛と上手なつきあい方
前立腺炎(慢性骨盤痛症候群):
長引く会陰痛と上手なつきあい方
会陰部の違和感・痛み、座っているとつらい、排尿後の不快感、骨盤周囲の重だるさ…。
3か月以上続くときは、慢性骨盤痛症候群(慢性前立腺炎)の可能性があります。原因は一つではなく、骨盤底筋の過緊張・自律神経・ストレス・痛みの感作などが重なります。
当院では、“今できる対処”と“悪化させない工夫”、必要な検査と治療を一人ひとりに合わせて提案します。
1. 慢性骨盤痛症候群とは?(前立腺炎との関係)
「慢性前立腺炎」と呼ばれることがありますが、明確な細菌感染がないにもかかわらず、3か月以上続く会陰部・骨盤周囲の痛みや不快感、排尿症状(頻尿・残尿感・排尿後不快)などを指します。要因は複合的で、
- 骨盤底筋の過緊張(筋筋膜性)
- 自律神経バランスやストレスとの関連
- 末梢・中枢の痛み感作(痛みの神経回路が過敏)
- 過去の感染・炎症の影響が残っているケース
単一の“特効薬”より、生活・筋の使い方・睡眠/ストレス・適切な検査と薬・理学療法を組み合わせ、悪化因子を減らして波を小さくする考え方が現実的です。
2. 今できるセルフケア(今日から)
姿勢と時間の工夫
- 長時間の坐位を小刻みに中断(60分に1回は立つ)
- クッションを活用(ドーナツ型より座面全体が柔らかいもの)
- 自転車/バイクのサドル圧を調整(前傾し過ぎない)
温める・ゆるめる
- ぬるめの入浴、温罨法(下腹部・会陰部を過度に圧迫しない)
- 深い呼吸+腹式呼吸で骨盤底の過緊張を解く意識
刺激を減らす
- カフェイン・アルコール・辛味を控えめに
- 便秘/下痢がある場合は整える(繰り返すいきみは悪化要因)
- 睡眠不足・過労の是正
軽い運動
- 負担の少ない有酸素運動(ウォーキングなど)を短時間から
- 重い筋トレでいきみ過多にならないよう注意
3. 受診の目安・赤旗サイン
- 発熱・悪寒がある(急性前立腺炎・腎盂腎炎の可能性)
- 排尿困難が強い/尿が出ない(尿閉の可能性)
- 肉眼的血尿が続く、血の塊が出る
- 陰嚢の急な腫れ・強い痛み(捻転の可能性は緊急)
これらは早期の評価が必要です。泌尿器科トップから、ご都合の良い時間でご予約ください。
4. 検査の流れ(初診〜再診)
- 問診・スコア評価:症状経過、生活・仕事・運動、ストレス、既往薬。必要に応じて排尿症状スコア(IPSS/OABSS)。
- 尿検査:尿沈渣・必要に応じて尿培養で感染の有無を確認。尿検査
- 超音波(必要に応じて):前立腺容量、残尿量、他臓器評価。エコー
- 血液検査:炎症反応など。血液検査
- 画像検査:鑑別が必要ならCT/MRIを連携手配。CT / MRI
検査は“必要十分”を見極めて最短ルートで実施します。
5. 治療の選択肢と“続けやすさ”
① 痛み・筋緊張へのアプローチ
- 骨盤底のリラクセーション指導(腹式呼吸・姿勢)
- 必要に応じて鎮痛薬/神経障害性疼痛薬の検討
- 温罨法・入浴、軽い有酸素運動の継続
② 排尿症状の調整
- α1遮断薬(排尿時の抵抗軽減/夜間頻尿の緩和が期待できる場合)
- 過活動が強い場合は膀胱薬を検討(個別評価)
③ 感染が疑われる場合
- 培養結果に応じ短期間で適正に(長期投与は副作用・耐性化に注意)
- 尿路・前立腺以外の原因(直腸・皮膚・筋骨格)も見落とさない
④ 心身相関・再発予防
- 睡眠・ストレス・仕事負荷の調整
- “痛みの波”を記録し、悪化因子を可視化
- 症状が重い時期の頑張り過ぎ回避(ペース配分)
症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが一般的です。焦らず、“続けやすい”小さな対策を積み上げましょう。
6. よくある質問
Q. どのくらいで良くなりますか?波がありますか?
個人差は大きいですが、セルフケアと治療を組み合わせることで数週間〜数か月で波が小さくなる方が多い印象です。完全寛解を焦らず、悪化因子を減らす工夫を続けることが近道です。
Q. 受診時に持っていくと良いものは?
症状のメモ(いつ・何をすると悪化/緩和、睡眠、ストレス、運動、食事・刺激物)、内服中の薬・サプリ、直近の健診結果など。採尿があるため受診直前の排尿は控えめだと助かります。尿検査
Q. 抗菌薬は必要ですか?
感染が示唆される場合のみ、培養結果に沿って必要最小限で行います。自己判断での長期内服は副作用や耐性化のリスクがあり推奨しません。抗菌薬の解説はこちらも参照ください。
Q. 仕事や運動は続けて良い?
症状が強い時期はいきみ・長時間の坐位・サドル圧など悪化因子を避け、軽い運動やストレッチに切り替えましょう。良い時期に少しずつ戻すのがおすすめです。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

慢性骨盤痛症候群は、「原因を一つに決めつけない」姿勢が大切です。検査は必要十分に、生活や仕事の背景まで含めて悪化因子を減らし、続けやすい対策を積み重ねていきます。波のある病態だからこそ、焦らず伴走することを心がけています。
監修:0th CLINIC 日本橋 院長/病理専門医
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