三尖弁閉鎖不全症(TR)|原因・症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋

三尖弁閉鎖不全症(TR)|原因・症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋

むくみお腹の張りだるさ…それ、三尖弁閉鎖不全症(TR)のサインかもしれません

三尖弁閉鎖不全症は、収縮期に右心室→右心房へ血液が逆流する病気です。
原因は、一次性(器質性:感染性心内膜炎・外傷/デバイス関連・先天異常など)と、 二次性(機能性:肺高血圧や左心系弁膜症、心房細動による弁輪拡大/右室・右房拡大)に大別されます。
進行すると下腿浮腫・腹部膨満(腹水)・頸静脈怒張易疲労などが出現。治療は 内科的管理(利尿薬など)に加え、原因と重症度に応じて外科的弁形成/置換経皮的三尖弁治療(T-TEER:TriClip/PASCAL等)を検討します。

💡 完全予約制24時間Web予約に対応・プライバシーに配慮
⚠️ 急な強い息切れ・ふらつき/血圧低下急速なむくみ/腹水増悪救急受診

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目次

  1. 三尖弁閉鎖不全症(TR)とは
  2. 主な症状・危険サイン
  3. 検査の流れと重症度指標
  4. 病型と重症度(基準値)
  5. 治療の考え方(外科/T-TEER/内科)
  6. 生活の工夫(QOL)
  7. フォローアップと緊急受診
  8. 当院でできること
  9. よくある質問

🔍 三尖弁閉鎖不全症(TR)とは

三尖弁が完全に閉じず、右心室→右心房へ血液が逆流する病態です。 体静脈系にうっ血が生じ、下腿浮腫腹部膨満(腹水)頸静脈怒張肝うっ血などを引き起こします。 原因は一次性(器質性)二次性(機能性)に分かれ、二次性は 肺高血圧・左心系弁膜症右室/右房拡大心房細動(AF)に伴う弁輪拡大が典型です。

三尖弁閉鎖不全症(TR)|原因・症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋
二次性TRは弁輪拡大弁尖の牽引(右室リモデリング)で接合不全に。 一次性TRは感染・外傷/リード・先天異常などが原因。

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🩺 主な症状・危険サイン

  • 下腿浮腫・体重増加: 体液貯留のサイン。靴下の跡が深くなる。
  • 腹部膨満・食欲低下: 腹水や肝うっ血による不快感。
  • 頸静脈怒張・肝拍動: 右心系のうっ血を示唆。
  • 易疲労・息切れ: 右心不全・肺高血圧の進行で増悪。
  • 身体所見: 胸骨左縁の汎収縮期雑音肝静脈の収縮期逆流など。
🚩 危険サイン: 急速な浮腫/腹水の悪化、強い息切れやふらつき・血圧低下、意識障害 → 至急受診を。

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🧪 検査の流れと重症度指標

  1. 心エコー(TTE/必要時3D・TEE)vena contracta幅PISA法(EROA/逆流量RVol/逆流率)三尖弁輪径RA/RVサイズRV機能(TAPSE・S’)IVC径・呼吸性変動肝静脈の収縮期逆流TR速度からのPASP推定を総合評価。
  2. 心臓MRI(CMR):右室容積・機能、逆流量の定量に有用(必要時)。
  3. 右心カテーテル検査:肺高血圧・右心系圧の評価、術前精査。
  4. 心電図/胸部X線/BNP:AFや右心負荷、心拡大・うっ血の補助情報。
  5. CT/3D-TEE:弁形態・弁輪計測、デバイス治療のプランニング。
📎 指標メモ: 前負荷・後負荷やリズム(AF)、呼吸相で計測値は変動します。肝静脈の収縮期逆流大きなvena contractaは重症の所見です。

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📊 病型と重症度(基準値)

主な病型

  • 一次性TR(器質性:感染性心内膜炎、外傷/リード関連、弁尖の変性、先天異常 など)
  • 二次性TR(機能性:肺高血圧や左心系弁膜症、心房細動に伴う弁輪拡大・右室/右房拡大)

重症度の目安(代表値)

  • 軽症: Vena contracta < 0.3 cm、EROA < 0.20 cm²
  • 中等症: Vena contracta 0.3–0.69 cm、EROA 0.20–0.39 cm²
  • 重症: Vena contracta ≥ 0.7 cm、EROA ≥ 0.40 cm²肝静脈の収縮期逆流 など

※ 施設/ガイドラインにより“massive/torrential(極めて高度)”の分類を追加する場合があります。評価は複数指標と経時変化で行います。

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💊 治療の考え方(外科/T-TEER/内科)

内科的管理(全例で基礎)

  • 利尿薬(ループ±MRA)で体液管理。腎機能・電解質をモニター。
  • 基礎疾患の治療: 肺高血圧・左心系弁膜症・心不全の最適治療、AFのレート/リズム管理
  • リード関連TR: ペースメーカー/ICDリード位置の見直し等を専門施設で検討。

外科治療

  • 三尖弁形成術(リング形成推奨)三尖弁置換術:修復困難例や他弁手術同時施行時に検討。

経皮的三尖弁治療(TTVI)

  • T-TEER(TriClip/PASCAL等)症候性の重症〜極めて高度TRで、 外科高リスク/不適かつ解剖学的に適合する場合に検討。
  • その他:経皮的弁輪形成・置換など、症例に応じて選択。
📌 意思決定の要点: 症状、右室機能(TAPSE/S’・CMR)、弁輪径・弁尖形態、肺高血圧、リードの有無、外科/経皮治療の適合性を 心臓チームで総合評価。

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🌱 生活の工夫(QOL)

  • 塩分・体液管理: むくみ/体重増加に注意し、利尿薬の内服指示を守る。
  • 運動: 主治医の許可範囲で軽〜中等度の有酸素運動を。呼吸困難や強い倦怠感時は休止。
  • 服薬・受診: 腎機能・電解質の定期チェック。自己判断での増減は避ける。
  • 生活の工夫: 弾性ストッキングは適応と装着方法を確認のうえ使用。
🧑‍⚕️ 看護・栄養・リハビリと連携し、症状と日常生活を多面的に支援します。

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🔄 フォローアップと緊急受診

  • 再診頻度: 軽症は6–12か月、中等症は6か月前後重症は3–6か月を目安に心エコーで再評価。
  • 再評価: 浮腫・体重・腹囲、心エコー(VC/EROA/RVol/RA・RV/IVC・RV機能)、腎機能/電解質、リズム(AF)。
  • 併存症: 肝機能・腎機能のモニタリング、栄養状態の確認。
🚩 要注意: 数日で2kg以上の体重増、急速なむくみ/腹水、強い息切れ、めまい・失神、混乱・黄疸の出現 → 早めに受診/救急要検討。

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🏥 当院でできること(0th CLINIC 日本橋)

  • 初期評価: 問診・身体診察、心電図、必要に応じて採血(腎機能・肝機能・BNP)。
  • 心エコーの手配: 提携施設でのTTE/TEE/3D、必要時CMR・右心カテ・CTで精査。
  • 治療方針の検討: 内科(利尿・基礎疾患治療)/外科(形成・置換)/経皮治療(T-TEER等)の適応とタイミングを総合判断。
  • 専門治療の連携: 心臓外科・カテーテルチーム、デバイス専門施設と密に連携。
  • 介入後フォロー: 心エコー・採血・利尿薬調整、遠隔モニタリング、栄養/リハ支援。
📅 完全予約制・Web予約対応。わかりやすい説明と、他院とのシームレスな連携を大切にしています。

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❓ よくある質問(Q&A)

Q:薬だけで治せますか?

薬(利尿薬など)はうっ血の改善が中心で、逆流そのものを根治するものではありません。 症状や検査所見により外科治療経皮的治療(T-TEER等)を検討します。

Q:無症状なら様子見で大丈夫?

無症状でも右室機能低下弁輪拡大が進む場合があります。 定期的な心エコーと臨床所見で介入タイミングを逃さないことが重要です。

Q:T-TEERと手術はどう違いますか?

手術: リング形成を中心に根治性が高く、他弁手術との同時施行も可能。
T-TEER: 胸を開けずに行うカテーテル治療。外科高リスク解剖学的に適合する症例で検討します。

Q:ペースメーカー/ICDのリードが原因かもしれません。対応は?

リードが弁尖運動を妨げる場合があります。画像での評価と、専門施設でのリード再位置決め/抜去弁治療の適応を総合検討します。

Q:肝臓や腎臓への影響は?

肝うっ血腎機能悪化が起こり得ます。定期的に血液検査を行い、 利尿薬や治療方針を調整します。

ほかにも気になる点があれば、ご受診時にお気軽にお尋ねください。
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📚 三尖弁閉鎖不全症(TR)・診断と治療に関する科学的根拠と外部リンク集

🔬 公的機関・国際機関

🏛 学会・専門団体ガイドライン

📖 学術レビュー・主要研究

🇯🇵 日本の公的情報・ガイドライン

🤝 参考:患者支援・生活の質(QOL)

これらのリンクは、 TRの重症度評価(Vena contracta、PISA/EROA、肝静脈収縮期逆流、右室/右房・三尖弁輪径、推定肺動脈圧)外科的修復/置換経皮的治療(T-TEER/TTVR)の適応・エビデンス、 病因(機能性TR:房室弁輪拡大・右室拡大/器質性TR:弁尖・腱索病変等)を幅広くカバーしています。 実際の治療方針は症状・右心機能・解剖学的適合性・併存疾患・全身リスクを踏まえ、 最新ガイドラインと心臓チームの総合判断に基づき決定されます。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修(三尖弁閉鎖不全症:TR)

三尖弁閉鎖不全症(TR)|原因・症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋
三尖弁閉鎖不全症(TR)は、収縮期に三尖弁が完全に閉じず 右心室→右心房へ血液が逆流する疾患です。一次性(器質性:感染性心内膜炎・外傷/リード関連・先天異常・弁尖変性など)二次性(機能性:肺高血圧・左心系弁膜症・右室/右房拡大・心房細動に伴う弁輪拡大)に大別され、治療選択が異なります。

典型症状は下腿浮腫・腹部膨満(腹水)・頸静脈怒張・易疲労で、進行すると 右心不全により肝うっ血/肝機能障害・腎機能悪化を合併しやすくなります。

診断の中心は心エコーで、vena contracta幅PISA法によるEROA/逆流量(RVol)/逆流率三尖弁輪径右房/右室サイズ右室機能(TAPSE・TDI S’・FAC)IVC径・呼吸性変動肝静脈の収縮期逆流TR速度からの肺動脈圧推定を総合評価します。 形態把握には3D-TEE/CTが有用で、右室容量・逆流量の定量には心臓MRI(CMR)が役立ちます。

治療は重症度・症状・原因・右室機能・全身リスクに応じて選択します。 内科的管理利尿薬による体液管理基礎疾患(肺高血圧・左心系病変・心不全・AF)の最適化が基本です。 解剖学的に修復可能であれば外科的三尖弁形成(リング形成推奨)、困難例では三尖弁置換を検討します。 外科高リスク/不適かつ解剖学的適合があれば、経皮的三尖弁治療(T-TEER:TriClip/PASCAL等)や 症例に応じて経皮的弁輪形成/置換も選択肢です。

リード関連TRが疑われる場合は、画像での評価の上、リード再位置決め/抜去や弁治療を専門施設と連携して検討します。 感染性心内膜炎では適切な抗菌薬と外科的介入の適応評価が重要です。」

0th CLINICでは初期評価(心電図・必要に応じHolter)に加え、 提携施設での心エコー(TTE/必要時TEE・3D)CMR右心カテーテルCTを手配します。
VC・EROA・RVol・弁輪径・RA/RVサイズ・RV機能(TAPSE/S’/FAC)・IVC/肝静脈所見原因(一次性/二次性)・リードの関与・肺高血圧を総合的に確認し、 内科最適化外科的修復/置換経皮的治療(T-TEER等)の適応とタイミングを 心臓チームで検討します。介入後は体液管理・腎肝機能・栄養を含めてフォローします。

監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上

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