ApoB と非HDLコレステロール|“粒の数”で分かる本当のリスク

ApoB と非HDLコレステロール|“粒の数”で分かる本当のリスク|0th CLINIC 日本橋

ApoB と非HDLコレステロール|“粒の数”で分かる本当のリスク

LDL-Cだけでは見えにくいリスクを、ApoB(アポB)非HDLで“粒の数”として評価。
非空腹でも活用しやすい指標で、目標値の個別最適化を行います。

① “粒の数”を見る

ApoBはアポB含有粒子の総数。LDL-Cが低くてもApoBが高い“見落とし”に注意。

② 非空腹でも評価可

非HDLはTC−HDLで即算出。食後でも使いやすく、再現性◎。

③ 目標値は“個別化”

既往・家族歴・糖尿病などで到達目標が変化。検査の組合せで最適化。

LDL-C・ApoB・非HDLの違いと使い分け

指標 何を見ているか 長所 留意点 向いているケース
LDL-C LDLに含まれるコレステロール量 保険診療で広く普及/治療目標が明確 TG高値や食後採血で算出法の誤差/“粒の数”は不明 一般的な初期評価・フォロー
ApoB アポB含有粒子(LDL/VLDL/IDL/レムナント等)の粒子数 リスク予測精度が高い/小粒子LDLやレムナントの影響も反映 追加採血が必要/施設によっては自費 LDLは低いのに高リスク、TG高値、家族歴が強い時
非HDL アポB含有リポ蛋白の総コレステロール(TC−HDL) 非空腹でも使いやすい/計算で即算出・低コスト 粒子数までは分からない 食後採血が多い、迅速に目安を掴みたい時
sd-LDL LDLの粒子径/密度(小型・高密度の割合) 表現型(食後/レムナント影響・メタボ関連)の把握に補助的 標準化/保険適用が施設依存・まずはApoB/非HDLで到達度を評価 残余リスクの精査・治療最適化の補助判断

目標値の設定(例)と読み替え

  • 非HDL:多くの方で LDL目標+30mg/dL を目安に設定されることが多い。
  • ApoB:リスクが高いほどより低い目標を設定(例:高リスクで 65–80mg/dL など)。
非HDLの計算例: TC 210 − HDL 55 = 非HDL 155(mg/dL)
※ 実際の目標は既往・家族歴・糖尿病・腎疾患・喫煙などで個別化します。

ApoBを測ると良い場面・採血のコツ

ApoB追加が有用な場面

  • LDLは十分低いのに、家族歴や画像でリスクが高い
  • TG高値/レムナント疑いで、粒子数を把握したい
  • スタチン・併用薬での到達度をより厳密に見たい

採血のコツ(再現性UP)

  • 非HDLは非空腹でも可(TC・HDLがあれば算出)
  • 比較目的なら条件(時間帯・食事・運動・飲酒)を近づける
  • 治療変更後は2〜3か月で効果を再評価

sd-LDL(小粒子LDL)をどう位置づける?

sd-LDL(small dense LDL)は、より小型・高密度のLDLサブクラスで、酸化や血管壁への浸潤に関する不利が示唆されています。 一方で、臨床では粒子数(= ApoB)非HDL(TC−HDL)で多くの情報がカバーできるため、 sd-LDLは補助指標として活用するのが現実的です。

ポイント要約
  • sd-LDL↑はしばしばTG↑/HDL↓・内臓脂肪型と同調(食後高脂血症・レムナント関連)。
  • ApoBは粒子数を直接反映するため、sd-LDL優位でもApoBが高値になりやすい。
  • 非HDLは非空腹でも使いやすく、sd-LDL優位時の総量の目安として早見に有用。

こんなときに測定を検討

  • TGが高め・メタボリック表現型で、LDL-Cは達成しているのに残余リスクが気になるとき
  • 画像評価(頸動脈エコー/CACS)や家族歴から動脈硬化の進行が疑われるのに、従来指標が説明しきれないとき
  • 治療最適化の方針確認(スタチン、エゼチミブ、フィブラート/オメガ3、生活介入の重点)

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👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

ApoB と非HDLコレステロール|“粒の数”で分かる本当のリスク
「ApoBと非HDLは、“量”と“粒の数”という異なる視点でリスクを可視化します。
検査条件や生活背景まで踏まえ、続けられる計画に落とし込むことが重要です。」
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/外科病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)

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