- 血液中の中性脂肪(TG)が多い状態。食事や体重、飲酒、糖代謝、薬の影響を強く受けます。
- 500mg/dL以上で膵炎リスクが意識され、1000mg/dL以上では急性膵炎の危険が高いと考えます。
- 自覚症状がなくても、膵炎・動脈硬化につながるため、放置はNG。
高トリグリセリド血症|膵炎を防ぐために
高トリグリセリド血症|膵炎を防ぐために
要約:TG 500mg/dL以上では膵炎予防を最優先。1000mg/dL以上は緊急度が高い可能性。 その日の対処から、生活・薬の優先順位、二次性の切り分けまでを解説します。
アクセス
東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)
高トリグリセリド(TG)血症とは?
高TGはどうして膵炎を起こすの?
やさしい説明
- 血液が“乳び”状態(白く濁るほど脂が多い)になると、膵臓の周りの細い血管が詰まりやすくなります。
- 膵臓の酵素がTGを分解すると遊離脂肪酸が一気に出て、局所でやけどのような炎症が起こります。
- 炎症が広がると激しい腹痛・嘔吐・発熱などの急性膵炎に。
つながりのイメージ
- 高TG(とくに1000以上)で血液がドロドロ・乳びに
- 膵臓の周りの毛細血管が障害される
- 膵酵素で脂が一気に分解→刺激物質が増える
- 炎症が暴走して急性膵炎に
※ 高TG由来の膵炎は急速・重症化に注意(芸能ニュース等で話題になるタイプ)。我慢せず早めに受診が安全です。
何が高TGを招き、それが膵炎につながるの?
① 生活・食事の要因
- 飲酒(少量でも上げやすい/飲み会連続)
- 甘い飲料・果糖・精製炭水化物(ジュース・菓子・白米・麺)
- 揚げ物・生クリームなど高脂質、夜食・食べ過ぎ
- 体重増加・運動不足・睡眠不足
→ TG急上昇 → 血液が乳び → 膵炎リスク↑
② 病気・体質
- 糖尿病・インスリン抵抗性の悪化
- 甲状腺機能低下、腎・肝疾患、脂肪肝
- 遺伝的体質(家族にTG高値・若年膵炎/心血管病)
- 妊娠(とくに後期/多胎)
→ 背景是正が近道。糖・甲状腺・腎肝も同時に確認
③ 薬・その他
- ステロイド、免疫抑制薬、抗HIV薬
- 一部の抗精神病薬、利尿薬、経口エストロゲン
- 急性疾患・脱水・強いストレス
- サプリ・ドリンクの糖分/脂質過多
→ 内服歴・サプリ一覧を持参。独断の中止はNG
膵炎のサイン(赤旗)と、最初の48時間でやること
赤旗サイン(迷わず受診)
- 強い上腹部痛(背中に抜ける/持続)
- 吐き気・嘔吐、発熱、ぐったりする
- 飲酒・大食後に悪化、呼吸が苦しい
※ TGが1000以上の可能性がある/過去に言われた方はすぐ相談を。
最初の48時間アクション
- 完全禁酒・水分(甘い飲料は避ける)
- 砂糖・ジュース・白米/麺・菓子を控える
- 揚げ物・生クリーム・脂っこい料理を避ける
- 薬手帳・健診データ・内服一覧を用意
医師判断でフィブラート・処方EPA/DHA・インスリン調整等を検討。
再発を防ぐロードマップ
食事・生活のコツ
- 甘い飲料ゼロ・間食減/野菜とたんぱく質を先に
- 精製炭水化物を控えめ(白→雑穀・少量)
- 脂の質と量を見直す(揚げ物は回数制限)
- 体重-5〜7%、夜食・深酒はやめる
薬・フォロー
- 医師判断でフィブラート、処方EPA/DHA、必要に応じスタチン併用
- 2〜4週で再検(条件を揃える)→到達後は間隔延長
- 非HDL・ApoBで残余リスクも確認
よくある質問
食後に測って高かった。もう膵炎の心配?
食後はTGが上がりやすいので、条件を揃えて再検します。とはいえ500以上なら注意、1000以上の可能性が少しでもあるときは早めに相談を。
お酒はどれくらいでアウト?
TG高値のときは量に関わらず禁酒が原則。少量でも跳ねる人がいます。落ち着いてから再評価し、再開可否を個別に判断します。
薬は一生ですか?
まずは膵炎予防が最優先。その後は生活改善と併せて量や種類を見直します。原因が整えば減量・中止できるケースもあります。
① まずは膵炎リスク
500→要注意、1000mg/dL→緊急度高め。飲酒/脱水/暴飲食で跳ねます。
② 今日できる対策
禁酒・水分・炭水化物控えめ・揚げ物/甘い飲料ストップ。薬は医師と相談で。
③ 原因を切り分け
二次性原因・糖代謝・薬剤・アルコールをチェック。
中性脂肪を維持するために、今日できることと、受診の目安
当日のセルフケア
- 禁酒(少量でもNG)・しっかり水分(甘い飲料は避ける)
- 高糖質・高脂質を控える(白米/菓子/ジュース/揚げ物/生クリーム等)
- 夜遅い食事・間食を減らす/活動量を少し増やす
- 薬手帳と過去の健診結果を集めておく
膵炎の赤旗(至急の受診を)
- 強い上腹部痛(背中に抜ける痛み)
- 吐き気・嘔吐、発熱、ぐったりする
- 飲酒後や大食後に症状が悪化
※ 1000mg/dL以上の可能性がある場合は、迷わず医療機関にご相談ください。
生活と薬の“優先順位”
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 直ちに | 禁酒、水分、高糖質・高脂質制限(特に砂糖・ジュース・揚げ物・クリーム) | 脱水・飲酒はTG急上昇の引き金。まず止める。 |
| ② 1〜2週間 | 食事の見直し(精製炭水化物/果糖を減らす、野菜・たんぱくを先に)/体重-2〜3% | 夜食・間食・甘い飲料をやめるだけでも効果。 |
| ③ 薬の検討 | フィブラート、処方EPA/DHA、必要に応じスタチン併用 | 薬剤は病状・併存症・相互作用で選択。自己判断のサプリ過量はNG。 |
| ④ 併存症の是正 | 糖尿病/甲状腺/腎・肝、薬剤、アルコールの見直し | 二次性原因の切り分けが近道。 |
| ⑤ 再評価 | 条件を揃えて再採血(時間帯・食事・運動)/非HDL・ApoBで残余リスク確認 | 達成後も油断せず、間隔を決めてフォロー。 |
※ 妊娠中/授乳中は薬の選択が変わります。必ずご相談ください。
よくある原因(まずここをチェック)
- 飲酒量が多い/直近に宴席が続いた
- 体重増加・夜食・甘い飲料・果糖の多い食品
- 糖尿病・インスリン抵抗性の悪化
- 甲状腺機能低下、腎疾患、肝疾患、脂肪肝
- 薬剤(ステロイド、免疫抑制薬、抗HIV薬、抗精神病薬、利尿薬、経口エストロゲン など)
- 遺伝的体質(家族にTG高値や若年の膵炎/心血管イベント)
- 急性疾患・脱水・強いストレス
- サプリの過量摂取(糖質入り飲料、MCT等の多用は個別判断)
採血とフォローの流れ
- 初回:脂質(TG/LDL/HDL/非HDL、ApoB)、血糖/HbA1c、甲状腺、腎・肝機能、必要時アミラーゼ/リパーゼ
- 原因の切り分け:二次性・薬剤・飲酒・生活
- 治療開始:生活+薬(フィブラート、処方EPA/DHA、必要に応じスタチン)
- 再評価:2〜4週で再検(条件を揃える)/到達後は間隔を延長
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👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「TGが高いときは、まず膵炎を起こさないことを最優先にします。今日できる対策と 原因の切り分けを並走させるのが、遠回りしないコツです。」
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/外科病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)
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