尿検査(尿定性/沈渣/培養・感受性/PCR)|目的・採尿・提出・結果の見方|0th CLINIC 日本橋
尿検査(定性/沈渣/培養・感受性/PCR)
尿は“腎〜膀胱の鏡”。まずは簡易な尿定性であたりをつけ、再発・重症・原因不明では沈渣・培養/感受性、性感染疑いではPCR(NAAT)を使い分けます。
※診療時間はお知らせをご確認ください。
検査の使い分け(早見表)
| 膀胱炎が疑わしい | 尿定性(白血球)→沈渣→再発・重症で培養+感受性 |
| 血尿(健診/肉眼) | 尿定性/沈渣で赤血球確認 → 尿細胞診±画像(CT/エコー) |
| 発熱・腎盂腎炎疑い | 尿定性/沈渣+培養・感受性+採血(炎症/腎機能) |
| 性行為後の排尿痛・膿 | PCR(NAAT):クラミジア/淋菌/マイコプラズマ等 |
| 原因不明の刺激症状が続く | 尿日誌・UFM/残尿+必要時に培養/NAATで別経路も評価 |
検査の種類(クリックで関連ページへ)
尿定性(テステープ) まずここから
糖・蛋白・潜血・pH・比重・白血球(LEU)などを数分で確認。簡易・迅速。
結果の見方へ
尿沈渣(顕微鏡)
赤血球の形態、白血球、細菌、円柱、結晶を確認。血尿の質的評価に有用。
顕微鏡的血尿
尿培養・感受性(Antibiogram)
原因菌を同定し、抗菌薬のS/I/R(効きやすい/中間/耐性)を判定。再発・重症・男性・妊婦では重要。
感受性の読み方
PCR(NAAT)
クラミジア・淋菌・マイコプラズマ・トリコモナス等の遺伝子検査。初尿(first void)採取が基本。
性感染症の検査と治療
尿細胞診(参考)
腫瘍細胞の確認。持続する血尿や膀胱腫瘍疑いで考慮。画像/内視鏡と組み合わせます。
膀胱がん
採尿と提出:精度を上げるコツ
基本(清潔中間尿・midstream)
- 手洗い→外陰部を前から後ろへ清拭。
- 排尿を始め、途中の尿を清潔容器に採る(最初と最後は捨てる)。
- ふたをしっかり閉め、ラベル(氏名・日時)を貼る。
月経中・直後は結果に影響することがあり、可能なら別日に再検します。
初尿(first void)※PCR向け
- 最初の尿を15–20 mL程度採取(尿道内の検体を反映)。
- 排尿前1–2時間はなるべく尿をためる。
- 性感染症のPCRは初尿が基本です(膣分泌物・うがい液など別部位採取の場合あり)。
導尿・留置からの採尿
- 必要時のみ医療者が実施(清潔操作)。
- 留置カテーテルはバッグからではなくサンプリングポートから採取。
保存・提出
- 室温放置で細菌が増えることがあります。速やかに提出を。
- 提出が遅れる場合は指示に従い、短時間の冷蔵保管。
結果の見方・よくある落とし穴
| 尿定性(テステープ) |
- LEU(白血球):感染の手がかり。両陽性→細菌性の可能性高。
陰性でも感染を完全には否定できません(非硝酸還元菌・希釈尿など)。
- 潜血:結石・腫瘍・炎症・運動後など。持続時は精査。
- 蛋白/糖/pH/比重:腎機能・糖尿病・脱水/多飲の評価に参考。
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| 尿沈渣 |
- 赤血球形態:糸球体性(変形赤血球)か非糸球体性かの参考。
- 白血球/細菌:数や集塊、菌体の有無。
- 円柱:顆粒・赤血球・白血球円柱など腎実質障害の示唆。
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| 培養・感受性 |
- 有意菌量:報告単位(例:10^5 CFU/mL など)。複数菌は汚染の可能性。
- 感受性(S/I/R):S=有効、I=中間、R=耐性。既往歴/腎機能/内服と合わせて抗菌薬を選択します。
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| PCR(NAAT) |
- 性感染症の高感度検査。初尿など検体条件が成績に直結。
- 結果は陽性/陰性で報告。パートナー検査・治療や再検のタイミングもご案内。
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※結果は症状・診察・画像と組み合わせて総合判断します。独断の抗菌薬内服は耐性菌の原因になります。
費用の目安(保険/自費の考え方)
| 尿定性・沈渣 | 保険(自己負担は保険種別・項目で変動) |
| 尿培養・感受性 | 保険(再発・重症・腎盂腎炎疑い等で実施) |
| PCR(NAAT) | 自費/保険(疾患・適応により判断)※詳細は診察で |
| 尿細胞診 | 保険(血尿・腫瘍疑い等で選択) |
当院は自費は性感染症の一部のみ、その他は原則保険で対応します。
FAQ:よくある質問
朝いちばんの尿が良いですか?
定性/沈渣は当日採尿で問題ありません。PCR(NAAT)は初尿が望ましいため、採り分けの指示に従ってください。
抗菌薬を飲んでいても培養できますか?
内服中は菌が検出されにくくなります。可能なら内服前に培養を行います(安全性を最優先に医師が判断)。
生理中ですが提出してよいですか?
判定に影響するため、急性症状がなければ別日で再検を推奨します。急を要す場合は採り方を工夫します。
結果はいつ分かりますか?
定性は当日、沈渣は当日〜、培養/感受性・PCRは後日となります(項目・状況により異なります)。
👨⚕️ 医師監修
荘子 万可 医師(日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医/日本抗加齢医学会専門医/テストステロン治療認定医)
0th CLINIC 日本橋 泌尿器科
本ページの医学的内容(採尿法・検査の使い分け・結果解釈)を確認しています。
※診療時間はお知らせをご覧ください。
- 監修日:2025-11-01
- 最終更新日:2025-11-01