血尿・排尿困難・PSA高値…前立腺がんかも|症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋
PSAが高い・排尿症状・血尿…それ、前立腺がんのサインかもしれません
前立腺がんは日本で増えているがんの一つ。早期は無症状のことも多く、PSA検査・画像検査・生検で診断します。
病期とリスクに応じて経過観察(Active Surveillance)・手術・放射線・ホルモン療法などを選択します。
⚠️ 激しい骨痛・麻痺、尿が全く出ない、持続する血尿・発熱は早急に医療機関へ
目次
🔍 前立腺がんとは
前立腺に発生する悪性腫瘍。多くは腺癌で、進行は比較的ゆっくりなタイプから、速いタイプまで様々です。早期は無症状のことが多く、PSA検査の異常を契機に見つかります。

診断後は病期(どこまで広がっているか)とグレード(がんの性質)を評価し、治療方針を決めます。
🩺 主な症状・危険因子
- 無症状: 早期は自覚症状が乏しいことが多い
- 排尿症状: 尿の勢い低下・途切れる・頻尿・残尿感(BPHと重なる)
- 血尿、血精液症
- 骨痛・しびれ: 骨転移や脊髄圧迫による痛み・神経症状
🧭 PSA検診と注意点
- PSAは前立腺特異抗原。がん以外(肥大症・炎症・射精・運動)でも上昇しうる。
- 年齢・基礎疾患・家族歴で実施の考え方が異なる(利益と不利益のバランス)。
- 再検やMRI、生検の判断はPSA値・PSA密度・PSA推移などを総合評価。
🧪 検査の流れ(PSA→MRI→生検)
- 問診・直腸診(DRE):前立腺の硬さ・結節の有無を確認。
- 血液検査(PSA):基準超過・上昇傾向がある場合は精査を検討。
- 前立腺MRI:PI-RADS評価で生検ターゲットを検討。
- 前立腺生検:経会陰/経直腸アプローチ。系統的+MRI標的(融合)生検。
- 病理診断:Gleasonスコア→ISUP Grade Group(1〜5)を決定。
- 病期評価:CT/MRI、骨シンチ、必要に応じてPET等で転移検索。
📊 病期(TNM)とグレード(ISUP)・リスク分類
ISUP Grade Group(Gleason換算)
- GG1: Gleason 3+3=6
- GG2: 3+4=7 / GG3: 4+3=7
- GG4: 8 / GG5: 9–10
代表的リスク分類(例:D’Amico)
- 低リスク: T1–T2a、GG1、PSA <10
- 中間リスク: T2b–T2c、GG2–3、PSA 10–20
- 高リスク: T3a以上、GG4–5、PSA >20 のいずれか
治療は年齢・合併症・余命・価値観を含め総合的に決定します。
💊 治療の考え方:限局がん(局所)
Active Surveillance(積極的監視)
- 主に低リスク・一部中間リスクの選択肢。PSA・MRI・再生検で厳密フォロー。
- 過剰治療を避けつつ、進行サインで根治治療へ切替。
手術療法(前立腺全摘)
- 開腹/腹腔鏡/ロボット支援。適応はリスク・年齢・併存症で検討。
- 神経温存により勃起機能温存を図る(腫瘍位置/リスクで可否が変わる)。
- 主な合併症:尿失禁・勃起機能障害・リンパ漏など。
放射線療法
- 外照射(IMRT/SBRT等):通院で治療。直腸・膀胱の副作用に配慮。
- 小線源療法(LDR/HDR):前立腺内に線源を留置。対象は施設基準・前立腺容量等で可否判断。
- 中〜高リスクではADT併用期間を検討。
🏹 治療:局所進行(T3〜)
- 外照射+長期ADT(例:2–3年)を検討。
- 選択例では手術+救済放射線の戦略も。
- リンパ節転移N1のみの場合は、局所治療+ADT併用等の選択肢を多職種で検討。
🌐 治療:転移性(mHSPC / mCRPC)
mHSPC(ホルモン感受性)
- ADT(LHRHアゴニスト/アンタゴニスト)に併用療法(AR経路阻害薬やドセタキセル等)を検討。
- 骨転移には骨修飾薬(ビスホスホネート/デノスマブ)や疼痛緩和治療。
mCRPC(去勢抵抗性)
- AR経路阻害薬の切替・化学療法(ドセタキセル/カバジタキセル)など。
- 分子標的・放射性医薬(施設・適応条件による)。
- 支持療法:疼痛コントロール、骨・栄養・サルコペニア対策、リハビリ。
🌱 副作用と対策(生活の質:QOL)
排尿・腸管
- 尿失禁: 骨盤底筋トレーニング、リハビリ、必要に応じてデバイス/手術。
- 排尿障害・頻尿: 薬物療法や行動療法で調整。
- 直腸症状(放射線): 下痢・出血などに対する支持療法、専門治療の紹介。
性機能・ホルモン関連
- 勃起機能: 神経温存の可否、PDE5阻害薬、陰圧式装置、陰茎リハビリ。
- ADT関連: ほてり・体重増加・筋力低下・気分変化。運動/栄養/場合により対症療法。
骨健康・代謝
- 骨粗鬆症予防(骨密度評価、ビタミンD/カルシウム、運動)。
- メタボ予防(有酸素+レジスタンス、食事、睡眠)。
🔄 フォローアップと再発時の対応
- PSAモニタリング: 初期は3–6か月ごと、安定後は6–12か月ごとが目安(治療法により異なる)。
- 再発指標: 術後はPSA上昇、放射線後は定義に基づく上昇で評価。
- 救済療法: 放射線後の救済手術、術後の救済放射線、薬物療法への切替を検討。
🏥 当院でできること(0th CLINIC 日本橋)
- 初期評価: 問診・身体診察、PSA、尿検査、必要に応じてエコー
- 画像・生検の手配: 前立腺MRIや前立腺生検を適切な提携医療機関へ紹介
- 治療ナビゲーション: 手術/放射線/薬物療法の説明とセカンドオピニオン支援
- 副作用ケア: 骨盤底リハ・性機能/骨健康サポート・栄養/運動指導
- 経過観察: PSA推移・症状のモニタリング、必要時の追加検査
❓ よくある質問(Q&A)
Q:前立腺肥大症と前立腺がんは違いますか?
はい、別の病気です。ただし同時に存在しうるため、PSA・直腸診・MRIなどで鑑別し、必要時に生検を行います。
Q:PSAが高い=前立腺がんですか?
いいえ。肥大症・炎症・射精・運動などでも上昇します。推移や密度、MRIを加味して生検の必要性を検討します。
Q:手術と放射線、どちらが良い?
根治性は同程度のケースも多く、副作用プロファイル・治療期間・再発時の選択肢が異なります。年齢・腫瘍分布・神経温存可否・仕事/通院事情・価値観で個別化します。
Q:性機能は保てますか?
腫瘍の位置とリスクにより神経温存が可能なら温存率は向上します。術後は陰茎リハ・PDE5阻害薬なども併用し回復を目指します。
Q:ADT(ホルモン療法)の副作用は?
ほてり・体重増加・筋力低下・骨密度低下・気分変化など。運動/栄養/骨粗鬆症対策で軽減し、必要に応じて薬物的介入を行います。
Q:治療後の通院頻度は?
初期は3–6か月ごと、安定後は6–12か月が目安(治療法や再発リスクで調整)。異変があれば前倒しで受診します。
Q:仕事・介護と両立できますか?
外照射は通院ベース、手術は入院+休業期間を要します。治療期間・副作用・復職時期を事前にすり合わせます。
Q:セカンドオピニオンは可能?
可能です。検査結果・画像・病理レポートのコピーを揃え、意思決定の材料を明確に整理して相談します。
ほかにも気になる点があれば、ご受診時にお気軽にお尋ねください。
▲ ページ上部へ戻る
📚 前立腺がん・診断と治療に関する科学的根拠と外部リンク集
🔬 公的機関・国際機関
- NCI PDQ(患者向け):Prostate Cancer Treatment / NCI PDQ(専門家向け)
- NCI PDQ:Prostate Cancer Screening(検診)
- NICE NG131:Prostate cancer(診断・治療ガイドライン) ( PDF )
- NHS:Prostate cancer(患者向け解説)
🏛 学会・専門団体ガイドライン
- EAU/EANM/ESTRO/ESUR/ISUP/SIOG:Prostate Cancer Guidelines 2025(全文PDF) / Pocket版(2025)
- AUA/ASTRO:Clinically Localized Prostate Cancer Guideline(概要) ( PDF / ASTROリソース )
📖 学術レビュー・教科書
🇯🇵 日本の公的情報・ガイドライン・統計
- 国立がん研究センター がん情報サービス:前立腺がん(総合解説) / 治療 / 統計(罹患・死亡・生存)
- 日本泌尿器科学会:前立腺癌診療ガイドライン 2023年版(PDF) / WEB資料一覧(Supplement)
- NCI PDQ日本語版(神戸医療産業都市):前立腺がんの予防(患者向け) / 前立腺がんと栄養・サプリメント(患者向け)
🤝 参考:患者支援・生活の質(QOL)
これらのリンクは、スクリーニング(PSA)・MRI/生検・病期/リスク分類(ISUP/TNM)・治療(監視/手術/放射線/ADT/化学療法)・
再発時対応・QOL/支持療法を体系的に把握できる、公的機関・学会ガイドライン・査読リソースです。
個々の最適治療は年齢・併存症・腫瘍リスク・価値観で異なります。実際の方針は、最新ガイドラインと専門医の判断に基づき決定してください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(前立腺がん)

「PSA高値・直腸診の異常・MRI所見が前立腺がんの精査契機になります。
確定診断は生検(系統的+標的)で行い、ISUPグレード・TNM分類・リスク分類を組み合わせて治療方針を決定します。
治療は低リスクであれば積極的監視、中~高リスクでは根治的前立腺全摘・放射線治療+ホルモン療法を検討します。
患者さんの年齢・合併症・生活背景に応じて、最適解を一緒に考えることが重要です。」
当院では初期評価・セカンドオピニオンに対応し、手術・放射線治療が必要な場合は提携医療機関へご紹介しています。
治療選択後も副作用(尿失禁・性機能・ホルモン関連症状)やQOLに配慮し、継続的なサポートを行います。
0th CLINIC/日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医/日本抗加齢医学会専門医/テストステロン治療認定医

「前立腺がんは早期では無症状のことも多く、PSA検診や偶発発見が重要です。
一方で進行すると骨転移による疼痛・麻痺・尿閉などを起こすため、画像評価と全身精査が不可欠です。
病理学的にはグリソンスコア・ISUP分類で予後を推測し、治療強度を調整します。
また、低リスク病変の過剰治療を避けつつ、高リスクは適切に介入することが重要です。」
0th CLINICでは病理診断・分子診断の知見を活かし、治療前カンファレンス・再発時の治療戦略に寄与しています。
特に術後PSA再発や去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)のケースでは、専門施設と連携した最新治療の提案を行っています。
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
関連コラム
ただいま準備中です。少々お待ちください。