動脈硬化性心血管疾患(ASCVD:心筋梗塞・脳梗塞・PAD)|糖尿病と循環器を“守る”診療|日本橋の内科 0th CLINIC(ゼロスクリニック)

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD:心筋梗塞・脳梗塞・PAD)|糖尿病と循環器を“守る”診療|日本橋の内科 0th CLINIC

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)|再発を防ぎ、初発も遅らせる

糖尿病は心筋梗塞・脳梗塞・PADの強いリスク因子。LDL最適化・血圧/血糖管理・禁煙・抗血小板/抗凝固を 個別に組み合わせ、「再発予防」と「一次予防」の両輪で守ります。

ASCVDとは

動脈硬化により冠動脈・脳動脈・末梢動脈が狭く/詰まる病態の総称。糖尿病では発症が早く・重く・再発しやすいため、 予防と再発予防の両面から多因子介入を行います。

こんな時は至急受診(救急/循環器・脳卒中科へ)

  • 胸の痛み/圧迫感・冷汗・吐き気・息切れ(安静で持続/増悪)
  • FAST:顔のゆがみ/腕の脱力/ことばのもつれ・強い頭痛・片側のしびれ
  • 脚の激痛・蒼白・冷感(急性肢虚血を疑う)

迷ったら119番へ。運転は中止し、発症時刻・服薬をメモしてください。

検査・リスク評価(基本セット)

  • 脂質:LDL-C、Non-HDL-C、ApoB(高リスクではApoBも有用)。
  • 血圧・腎機能:家庭血圧、eGFR/尿アルブミン(CKD併存の評価)。
  • PADスクリーニング:症状/リスクがあればABI/TBI・ドップラー
  • 心血管リスク:既往・家族歴・喫煙・肥満・睡眠時無呼吸など。

脂質管理(LDL/Non-HDL/ApoB)

  • 二次予防(ASCVDあり)LDL-C < 55 mg/dLかつ50%以上低下を目安。まず高強度スタチン、未達ならエゼチミブ追加、さらにPCSK9阻害薬(またはインクリシラン等)を検討。
  • 一次予防(高リスクの糖尿病)LDL-C < 70 mg/dLまたは50%以上低下を目安。スタチン中心にエゼチミブ等を段階追加。
  • 中性脂肪 135–499 mg/dLでASCVD/高リスクの場合:イコサペント酸エチルを検討。
  • スタチン不耐ではベンペド酸や低用量併用など選択肢を個別化。

血圧・血糖・体重の最適化(心腎保護を優先)

  • 血圧目標:多くの方で< 130/80 mmHgを目安(高齢/起立性低血圧などは個別化)。RAAS阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬を組み合わせ。
  • 血糖治療:HbA1cは個別化(概ね7%前後)。ASCVDがある/高リスクではGLP-1受容体作動薬SGLT2阻害薬を積極活用。
  • 体重管理:肥満合併ではGLP-1RA/チルゼパチドなどで減量とリスク低減を両立。
  • CKD/HF合併:SGLT2は心不全・腎保護に有益。ACEi/ARBはアルブミン尿で推奨。

抗血小板/抗凝固の考え方

  • 二次予防アスピリン(75–100 mg/日)を基本。PCI/ACS後はDAPT(アスピリン+P2Y12阻害薬)を期間個別化。
  • 一次予防: routineでは推奨せず。ASCVDリスクが非常に高く、出血リスクが低い場合に限り慎重に検討。
  • PAD:アスピリン/クロピドグレル。症候性/血行再建後は低用量リバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)+アスピリンの選択肢も。
  • 心房細動合併:CHA2DS2-VAScに基づきDOAC等を選択(抗血小板との重複は最小限)。

PAD(末梢動脈疾患)の実務

  • 症状:間欠性跛行、足冷感/色調変化、創傷治癒遅延。
  • 評価:ABI/TBI・ドップラー、画像(CTA/MRA/血管造影)。
  • 治療:禁煙・運動療法(監視下歩行)、LDL厳格化、抗血小板、必要時再血行再建

脳梗塞/TIAの実務

  • 急性期:発症時間を確認し、tPA/血栓回収の適応を評価(専門科へ直行)。
  • 二次予防:アスピリンまたはクロピドグレル、短期DAPTはTIA/軽症脳梗塞の一部で。血圧/脂質/血糖の最適化と禁煙を徹底。
  • 頸動脈病変:内膜剥離術/ステントを検討(専門科連携)。

心筋梗塞/慢性冠症候群

  • 急性期:救急で再灌流(PCI)を最優先。酸素・硝酸薬・抗血小板・抗凝固などは指針に従う。
  • 二次予防:高強度スタチン、ACEi/ARB、β遮断薬、DAPT(期間個別化)、GLP-1RA/SGLT2の併用で全身リスクを最小化。
  • リハビリ:心臓リハで再発・死亡リスクを低下、復職・運動再開を安全に。

禁煙・運動・食事・睡眠(続けやすく)

  • 禁煙:最重要。薬物療法(バレニクリン/NRT等)を組み合わせ成功率UP。
  • 運動:週150分の有酸素+週2回の筋力。PADは監視下歩行が有効。
  • 食事:地中海/和食ベース、飽和脂肪と超加工品を控え、魚・未精製穀物・野菜果物・良質油を。
  • 睡眠/いびき:睡眠時無呼吸の評価と治療はCVリスク低減に寄与。

フォロー間隔の目安(個別条件で前後します)

状態目安主なチェック
一次予防(高リスク)3〜6か月LDL・血圧・HbA1c・体重・禁煙・副作用
ASCVD既往(安定期)1〜3か月→安定後3〜6か月LDL到達度、血圧、抗血小板/抗凝固、運動/食事
PAC/PAD介入後・脳卒中後退院後早期+1〜3か月再発予防セット、薬剤調整、リハ状況

よくある質問

LDLはどこまで下げますか?
二次予防は一般に<55 mg/dLかつ50%以上低下を目安、一次予防の高リスクは<70 mg/dLを目安に個別化します。
アスピリンは全員必要?
二次予防では基本的に必要ですが、一次予防では出血リスクとバランスを取り慎重に判断します。
どの糖尿病薬が心血管に良い?
GLP-1受容体作動薬は主要心血管イベント低減、SGLT2阻害薬は心不全/腎保護に強みがあります。併用も検討します。

💊 糖尿病治療薬の種類と特徴

糖尿病治療では、血糖値を下げるための薬を使うことがあります。
病態や合併症の有無に応じて、内服薬や注射薬を適切に組み合わせて治療します。

🔷 主な内服薬(経口血糖降下薬)

  • ビグアナイド薬(メトホルミンなど)
    ─ 肝臓での糖の産生を抑える。体重が気になる方にも適応されます。
  • SGLT2阻害薬
    ─ 尿から糖を排出する薬。体重減少や血圧改善も期待されます。
  • DPP-4阻害薬
    ─ 食後のインスリン分泌を助ける薬。低血糖を起こしにくいのが特徴です。
  • スルホニル尿素薬(SU薬)
    ─ インスリン分泌を促進する薬。やや低血糖を起こしやすいので注意。
  • α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
    ─ 糖の吸収をゆっくりにすることで、食後高血糖を抑えます。

💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)

  • インスリン製剤
    ─ 血糖値を直接下げるホルモンを補う薬。1型糖尿病や重症の2型糖尿病で使用。
  • GLP-1受容体作動薬
    ─ インスリン分泌を促進し、食欲を抑える注射薬。週1回の製剤もあり、肥満のある方にも有効です。

📋 副作用や注意点

  • 低血糖(特にSU薬・インスリン使用中)
  • 吐き気・食欲不振(GLP-1受容体作動薬)
  • 尿路感染症・脱水(SGLT2阻害薬)
  • 腎機能や肝機能の状態により、使用できない薬もあります

🏥 通院・血液検査が大切です

糖尿病は「症状が出にくい」慢性疾患です。
自己判断で薬を中断せず、定期的に診察・HbA1cや腎機能の検査を受けて、合併症を予防しましょう。

💊 糖尿病治療薬の種類と特徴

糖尿病の治療薬は多岐にわたります。以下は、日本国内で使用される代表的な薬剤とその特徴をまとめたものです。

🟢 経口血糖降下薬(内服薬)

① ビグアナイド薬(Biguanides)

② スルホニル尿素薬(SU薬)

③ 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系)

④ α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

⑤ チアゾリジン薬(TZD)

⑥ DPP-4阻害薬

⑦ SGLT2阻害薬

💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)

① GLP-1受容体作動薬

② インスリン製剤(分類別)

それぞれの薬剤は、患者さんの体質・合併症・ライフスタイルに応じて選択されます。
詳しくは医師にご相談ください。

GLP-1受容体作動薬の作用メカニズム

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD:心筋梗塞・脳梗塞・PAD)|糖尿病と循環器を“守る”診療|日本橋の内科 0th CLINIC(ゼロスクリニック)

GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌促進食欲抑制胃の排出遅延などの作用を通じて血糖値をコントロールします。
また、体重減少効果もあることから、2型糖尿病や肥満治療にも用いられます。

こんな方はご相談ください

  • のどが渇く、水をたくさん飲む
  • 尿の量や回数が増えた
  • 食欲があるのに体重が減る
  • 疲れやすい、だるい
  • 手足のしびれ
  • ケガが治りにくい
  • 健康診断で血糖値やHbA1cが高いと言われた

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