感染症(壊疽・蜂窩織炎など)と糖尿病|“創傷も代謝も”守る総合ケア|日本橋の内科 0th CLINIC(ゼロスクリニック)

感染症(壊疽・蜂窩織炎など)と糖尿病|“創傷も代謝も”守る総合ケア|日本橋の内科 0th CLINIC

感染症(壊疽・蜂窩織炎など)と糖尿病|感染制御と代謝最適化を同時に

糖尿病では免疫応答の低下・血流障害・神経障害のため、皮膚・軟部組織感染が重症化・慢性化しやすく、骨髄炎・壊疽に進展することがあります。
当院では重症度評価 → ドレナージ/デブリードマン → 適正抗菌薬 → 創傷ケア/オフローディング → 再発予防を、血糖管理とセットで行います。

糖尿病と感染の関係

高血糖は好中球機能低下末梢循環障害を介して感染に脆弱化します。末梢神経障害により傷に気づきにくく、足潰瘍→感染→骨髄炎の悪循環が生じます。 適切な初期対応で入院・手術・切断のリスクを大幅に減らせます。

救急受診が必要なサイン(Red Flags)

  • 急速に広がる発赤/疼痛/腫脹、皮膚の紫斑/水疱/壊死握雪感(皮下気腫)
  • 高熱/悪寒/意識障害呼吸が苦しい頻脈/低血圧(敗血症疑い)
  • 深い潰瘍や骨が触れる感覚(骨露出)/悪臭を伴う黒色壊疽
  • 持続する高血糖(例:250mg/dL以上)やケトン陽性を伴う感染

これらに該当する場合は救急受診をご検討ください(当院から救急搬送/専門科へ速やかに連携します)。

主な病態と“特徴(見分け方)”

病態臨床のポイント
蜂窩織炎(Cellulitis) 境界不明瞭の発赤・熱感・腫脹・圧痛。膿瘍や壊死所見が無い。下肢に多く、リンパ管炎を伴うことも。
皮下膿瘍 限局性の波動/強い圧痛。超音波で低エコー腔。原則は切開排膿+適正抗菌薬
壊死性軟部組織感染(NSTI) 疼痛が所見に比べ極めて強い、短時間で拡大、皮下気腫/水疱/壊死。緊急外科介入+広域抗菌薬
糖尿病足潰瘍/感染(DFI) 潰瘍底の汚染・深部ポケット、骨が触れる/プローブで骨接触で骨髄炎疑い。オフローディング/デブリードマン必須。
骨髄炎(足部) 遷延化・瘻孔/露骨。単純X線で骨破壊、MRI高感度。長期抗菌薬±手術。

評価・検査(初期〜専門的)

  • 全身評価:バイタル、敗血症スクリーニング(例:qSOFA/NEWS)、脱水・腎機能。
  • 採血:WBC、CRP、PCT、肝腎機能、血糖/ケトン/乳酸
  • 培養排膿/深部組織からの培養(表面スワブは避ける)。重症例は血液培養
  • 画像:単純X線(ガス/骨破壊)、超音波(膿瘍)、MRI(骨髄炎/深部膿瘍)。
  • 循環/創傷:ABI/足背動脈の触知、オフローディング評価、栄養状態。

重症度分類(皮膚・軟部組織感染/糖尿病足の目安)

重症度臨床の目安方針の例
軽症 表在性で発赤が限局、全身炎症所見が乏しい、膿瘍/壊死なし 外来で創傷ケア、切開排膿が不要なら経口抗菌薬、血糖最適化
中等症 広範な発赤/浮腫、発熱あり、膿瘍/深部関与の疑い 切開排膿やデブリードマン、培養提出、入院/静注抗菌薬を検討
重症 壊死/皮下気腫/重篤な疼痛、敗血症/循環不全、壊疽や骨露出 緊急外科連携、広域静注抗菌薬、集中治療、血糖管理(インスリン)

重症度で治療は大きく変わります。まずはドレナージ/デブリードマン(膿は出す、壊死は取る)が原則です。

治療(ドレナージ/抗菌薬/創傷ケア/血糖の“合わせ技”)

  • 切開排膿・デブリードマン閉鎖腔は開放、壊死組織は除去。培養は深部組織から。
  • 適正抗菌薬:重症度・局在・培養に応じ選択。中等症以上は静注、表在軽症は経口を目安に。
  • 創傷ケア:湿潤環境の維持、デブリドマン継続、陰圧閉鎖療法などを適応に応じ併用。
  • オフローディング(足部):免荷靴/ギプス/インソールで圧を分散。歩行指導を徹底。
  • 血糖管理:感染時はインスリンで可及的速やかに是正(経口薬調整を含む)。脱水補正・電解質管理。
  • 血管評価/再灌流:PADがあれば血管内治療/外科評価を連携。
  • 破傷風予防や疼痛管理、栄養介入も並行します。

代謝・血管リスクの同時管理(再発予防の鍵)

  • 血糖:CGMや頻回SMBGで変動を把握、入院/周術期はインスリン主体に。
  • 血流:喫煙中止、スタチン/抗血小板薬の適応、ASCVD/PADの一次・二次予防。
  • フットケア:足浴ではなく清潔・乾燥・保湿、爪/胼胝の適切管理、毎日視診。
  • 神経障害:しびれ・知覚低下に対する教育と靴選び。

フォロー間隔の目安(個別条件で前後します)

フェーズ目安主なチェック
急性期(導入直後)48–72時間以内発赤/疼痛の範囲、ドレーン/排膿量、発熱の推移、血糖・腎機能
亜急性期1–2週ごと創傷縮小率、組織の肉芽、培養結果に基づく抗菌薬調整、免荷の遵守
安定期/再発予防1–3か月フットケア、靴/歩容の見直し、PAD/神経障害評価、A1c・体重

よくある質問

抗菌薬だけで治りますか?
膿瘍や壊死がある場合はドレナージ/デブリードマンが必須です。抗菌薬単独では不十分なことが多く、創傷管理や免荷を組み合わせます。
糖尿病があると入院になりますか?
重症度や合併症、コントロール不良の高血糖がある場合は入院適応となることがあります。外来で安全に治療できるかを初診時に評価します。
再発を防ぐには?
血糖最適化・適切な靴・フットケアが三本柱です。PADや神経障害の評価も重要です。

💊 糖尿病治療薬の種類と特徴

糖尿病治療では、血糖値を下げるための薬を使うことがあります。
病態や合併症の有無に応じて、内服薬や注射薬を適切に組み合わせて治療します。

🔷 主な内服薬(経口血糖降下薬)

  • ビグアナイド薬(メトホルミンなど)
    ─ 肝臓での糖の産生を抑える。体重が気になる方にも適応されます。
  • SGLT2阻害薬
    ─ 尿から糖を排出する薬。体重減少や血圧改善も期待されます。
  • DPP-4阻害薬
    ─ 食後のインスリン分泌を助ける薬。低血糖を起こしにくいのが特徴です。
  • スルホニル尿素薬(SU薬)
    ─ インスリン分泌を促進する薬。やや低血糖を起こしやすいので注意。
  • α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
    ─ 糖の吸収をゆっくりにすることで、食後高血糖を抑えます。

💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)

  • インスリン製剤
    ─ 血糖値を直接下げるホルモンを補う薬。1型糖尿病や重症の2型糖尿病で使用。
  • GLP-1受容体作動薬
    ─ インスリン分泌を促進し、食欲を抑える注射薬。週1回の製剤もあり、肥満のある方にも有効です。

📋 副作用や注意点

  • 低血糖(特にSU薬・インスリン使用中)
  • 吐き気・食欲不振(GLP-1受容体作動薬)
  • 尿路感染症・脱水(SGLT2阻害薬)
  • 腎機能や肝機能の状態により、使用できない薬もあります

🏥 通院・血液検査が大切です

糖尿病は「症状が出にくい」慢性疾患です。
自己判断で薬を中断せず、定期的に診察・HbA1cや腎機能の検査を受けて、合併症を予防しましょう。

💊 糖尿病治療薬の種類と特徴

糖尿病の治療薬は多岐にわたります。以下は、日本国内で使用される代表的な薬剤とその特徴をまとめたものです。

🟢 経口血糖降下薬(内服薬)

① ビグアナイド薬(Biguanides)

② スルホニル尿素薬(SU薬)

③ 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系)

④ α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

⑤ チアゾリジン薬(TZD)

⑥ DPP-4阻害薬

⑦ SGLT2阻害薬

💉 注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬)

① GLP-1受容体作動薬

② インスリン製剤(分類別)

それぞれの薬剤は、患者さんの体質・合併症・ライフスタイルに応じて選択されます。
詳しくは医師にご相談ください。

GLP-1受容体作動薬の作用メカニズム

感染症(壊疽・蜂窩織炎など)と糖尿病|“創傷も代謝も”守る総合ケア|日本橋の内科 0th CLINIC(ゼロスクリニック)

GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌促進食欲抑制胃の排出遅延などの作用を通じて血糖値をコントロールします。
また、体重減少効果もあることから、2型糖尿病や肥満治療にも用いられます。

こんな方はご相談ください

  • のどが渇く、水をたくさん飲む
  • 尿の量や回数が増えた
  • 食欲があるのに体重が減る
  • 疲れやすい、だるい
  • 手足のしびれ
  • ケガが治りにくい
  • 健康診断で血糖値やHbA1cが高いと言われた

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感染症(壊疽・蜂窩織炎など)×糖尿病:外部エビデンスまとめ

以下は、公的機関・国際学会・主要ジャーナルからの一次文献・ガイドラインのリンク集です(院内運用:診断→初期対応→抗菌薬→外科/血行再建→オフローディング→併用療法→予後)。

📘 総論・枠組み(糖尿病足感染:DFI)

🦠 蜂窩織炎(SSTI)/ 壊死性筋膜炎(NSTI)

🔎 診断(糖尿病足感染・骨髄炎)

💊 抗菌薬(標的と期間)

🩺 外科処置・血行再建(PAD/CLTI 連携)

🦶 オフローディング(創治癒の鍵)

🧰 併用療法(NPWT など)

📈 予後(12か月〜)

※ 各リンクは外部サイト(公的機関・国際学会・主要ジャーナル)へ移動します。推奨・治療期間・適応は最新版ガイドラインの本文/アルゴリズムに従って運用してください。

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