トイレが近い(頻尿)・夜間多尿|原因と鑑別・受診の目安

トイレが近い(頻尿)・夜間多尿|原因と鑑別・受診の目安|日本橋の内科・泌尿器科 0th CLINIC

トイレが近い(頻尿)・夜間多尿──原因の見分け方と受診の目安

「日中に何度もトイレへ行く」「夜に2回以上起きる」「水分をそれほど取っていないのに回数が多い」── 頻尿・夜間多尿は、糖尿病や尿路の病気、薬の影響、睡眠の障害など多くの原因で起こります。 ここでは、症状からの鑑別を丁寧に整理し、糖尿病内科・泌尿器科どちらへ受診すべきかの目安と、 当院での検査・治療の流れを詳しく解説します。

まずは用語整理|「頻尿」「多尿」「夜間多尿」は何が違う?

頻尿(pollakiuria)

1回量は少ないのに回数が多い状態。膀胱容量が小さい/刺激症状がある時(過活動膀胱膀胱炎前立腺肥大症など)に起こりやすい。

多尿(polyuria)

1日の尿量そのものが多い(成人で概ね > 2–3L/日)。糖尿病(浸透圧利尿)や尿崩症薬剤性などでみられる。

夜間多尿(nocturnal polyuria)

1日の尿量のうち夜間の割合が過大睡眠時無呼吸高齢者の体液シフト心不全・腎機能飲酒などが関与。

自覚では区別しづらいことも多く、問診と尿検査・採血・超音波で原因を絞り込みます。

症状からの鑑別(詳細)|パターン別に原因を整理

1) 「のどが渇く・体重が減る」+「日中も夜も量が多い」

  • 糖尿病(2型/1型/LADA/MODY/二次性・膵性:3c型):高血糖による浸透圧利尿で多尿・口渇。進行例で夜間も大量の尿
    糖尿病 総合2型糖尿病1型糖尿病LADAMODY二次性糖尿病膵性糖尿病(3c型)
  • 高浸透圧高血糖症(HHS)/糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):強い口渇・全身倦怠・意識混濁〜腹痛・嘔気など。救急対応。
    HHSDKA
  • 尿崩症(中枢性/腎性):極端な多尿・口渇。夜間も大量排尿。水制限がつらい。

2) 「しみる・痛い・残尿感」+「回数が多い(少量ずつ)」

  • 急性膀胱炎・尿道炎:排尿痛、残尿感、血尿、発熱のない軽度の全身症状。女性に多い。
  • 前立腺炎:男性。会陰部痛や発熱を伴うことあり。
  • 性行為関連感染:分泌物、灼熱感。※検査で判定。

感染が疑わしい場合は泌尿器科を推奨(尿検査・培養・適切な抗菌薬選択)。糖尿病が背景にあると反復しやすいため、並行して血糖評価を行うと安心です。

3) 「尿意切迫・漏れそう」+「我慢しにくい」

  • 過活動膀胱(OAB):突然の尿意切迫。頻尿・切迫性尿失禁を伴う。
  • 間質性膀胱炎/膀胱痛症候群:頻尿と膀胱痛。排尿で一時的に楽になる。
  • 骨盤底筋機能低下:出産後や加齢で生じやすい。

4) 男性で「夜間に2回以上」+「尿勢低下・途切れる・残尿感」

  • 前立腺肥大症(BPH):加齢男性の頻尿/夜間頻尿の主要因。
    ※糖尿病の自律神経障害は膀胱機能を悪化させ、BPH症状を増悪することがあります → 糖尿病神経障害

5) 「いびき・日中の眠気」+「夜間に何度も起きる」

  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS):夜間の利尿ホルモン変動で夜間多尿。糖代謝悪化とも関連 → 睡眠時無呼吸と糖尿病

6) 「足のむくみ・息切れ」や「心腎機能の異常」+夜間多尿

  • 心不全:日中に溜まった水分が夜間に体循環へ戻り利尿。
  • 腎機能障害/糖尿病腎症:夜間頻尿の増加 → 糖尿病腎症

7) 「薬・飲料・生活習慣」によるもの

  • 利尿薬SGLT2阻害薬(糖と水分排泄↑)、カフェインアルコール就寝前の多量飲水冷えストレス

8) 女性特有の状況

  • 妊娠・産後・更年期:子宮の圧迫やホルモン変化、骨盤底筋の影響。
  • 膣・外陰部の炎症:刺激症状に伴う頻尿感。
  • 糖代謝の変化(妊娠糖尿病)→ 妊娠糖尿病

9) 心因・中枢性多飲

  • 心因性多飲(精神性多飲):水分摂取過多による多尿。電解質異常のリスク。

どちらを受診?|糖尿病内科 vs 泌尿器科(目安と併診のコツ)

症状・状況まず相談したい診療科ポイント
口渇・体重減少・全身倦怠+日中も夜も量が多い 糖尿病内科 高血糖の多尿を疑う。前糖尿病も含め評価。緊急性があれば DKA / HHS を除外。
排尿痛・残尿感・血尿(微熱を含む) 泌尿器科 尿検査・培養で原因菌を同定。糖尿病があると再発しやすいので血糖評価も併行(当院でワンストップ)。
尿勢低下・途切れる・残尿感(中高年男性) 泌尿器科 前立腺肥大の可能性。糖尿病の自律神経障害が併存すると症状が強くなるため同時に内科評価。
いびき・日中の眠気+夜間多尿 糖尿病内科/睡眠 睡眠時無呼吸と糖代謝の関連をチェック。検査で改善策が明確に。
SGLT2阻害薬・利尿薬を使用中 糖尿病内科(処方医) 薬剤性の多尿は用量・内服時間の調整で緩和できることがあります。

当院での検査と治療の流れ(初診当日)

  1. 問診:発症時期、夜間回数、1回量、口渇・体重変動、痛み・発熱、薬剤(利尿薬・SGLT2・カフェイン・アルコール)、基礎疾患、生活リズム。
  2. 尿検査:尿糖・蛋白・潜血・沈渣。必要に応じて尿培養
  3. 血液検査:空腹時血糖・HbA1c・腎機能・電解質。必要時に甲状腺・カルシウムなど。
  4. 超音波(腹部・前立腺・膀胱残尿):解剖学的異常や残尿の評価。
  5. 必要に応じて経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)睡眠検査尿流測定/膀胱機能検査
  6. 治療:原因別に生活・行動療法、薬物療法を選択。糖尿病が原因なら血糖コントロールを最優先。

糖尿病が背景にある感染症や皮膚トラブルの反復は、 感染症と糖尿病 も参照ください。

原因×手がかり 早見表

主な原因手がかり・同伴症状検査の主軸主な担当
糖尿病(2型/1型 ほか) 口渇・多飲、多尿、体重減少、疲れやすい、夜間も量が多い 血糖・HbA1c、尿糖、腎機能、必要時OGTT 糖尿病内科
尿路感染(膀胱炎・尿道炎・前立腺炎) 排尿痛、残尿感、血尿、下腹部痛・会陰部痛 尿一般・沈渣・培養、超音波 泌尿器科
前立腺肥大症(BPH) 尿勢低下、途切れる、残尿感、夜間頻尿 超音波(前立腺・残尿)、尿流測定 泌尿器科
過活動膀胱・膀胱痛症候群 尿意切迫、切迫失禁、排尿で痛み軽減 問診、排尿日誌、UUI評価 泌尿器科
睡眠時無呼吸症候群 いびき、日中の眠気、夜間多尿 簡易〜精密睡眠検査 内科(睡眠)
薬剤性・嗜好品(利尿薬・SGLT2・カフェイン・アルコール) 内服・摂取時間と相関、日中優位 服薬・摂取歴、生活評価 主治医(内科)
心不全・腎機能の問題 むくみ、息切れ、夜間多尿、蛋白尿 採血・尿・心エコー/腎エコー 内科

セルフチェック|受診前にメモしておくと診断が速くなります

  • 夜間の起床回数・起きる時間帯(例:1:00/3:30/5:00)と各回の量感
  • 日中の回数・1回量、水分摂取量・種類(カフェイン/アルコール)
  • 症状の同伴:口渇・体重変化・視力のゆらぎ・排尿痛・発熱・いびき
  • 服薬中の薬:利尿薬・SGLT2阻害薬・抗コリン薬・抗うつ薬など
  • 既往・家族歴:糖尿病、前立腺、腎・心疾患、妊娠関連

すぐ受診してほしい危険サイン

  • 強い口渇・嘔気・腹痛・呼吸が速い・意識がもうろう(DKA/HHSの可能性)
  • 発熱・悪寒・背部痛を伴う血尿(腎盂腎炎など)
  • 尿がほとんど出ない、むくみ急増、息切れ(急性腎障害・心不全
  • 男性で排尿困難が急激に悪化・下腹部膨満(急性尿閉

該当する場合は当日受診を。時間外は地域の救急相談窓口もご利用ください。

受診・ご相談はお気軽に|糖尿病内科・泌尿器科の連携で対応します

糖尿病が疑わしい場合は、糖尿病(総合)2型糖尿病、 妊娠中の方は 妊娠糖尿病 もご覧ください。
泌尿器の疾患が心配な方は 泌尿器科 へ。

医師からのコメント・監修

トイレが近い(頻尿)・夜間多尿|原因と鑑別・受診の目安
「皮膚疾患や感染症治療では、適切な薬剤選択と正しい使い方の指導が最も大切です。
再発を防ぎ、症状を早く抑えるために、丁寧に診療と説明を行っています。

0th CLINICでは、頻尿・夜間多尿の背景にある糖代謝・泌尿器・睡眠まで横断的に評価し、その日から実践できる生活アドバイスと薬物療法を組み合わせます。
「内科か泌尿器科か分からない」場合も、まずはご相談ください。院内連携でスムーズにご案内します。

監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/消化器病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/プライマリ・ケア認定医/日本医師会認定 産業医・健康スポーツ医

注意事項

本ページは一般向け解説です。個々の病状により最適な検査・治療は異なります。症状が強い、急に悪化した、気になる点がある場合は自己判断せず受診してください。

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