神経因性膀胱(Neurogenic Bladder)

神経因性膀胱(Neurogenic Bladder)|症状・検査・治療と在宅ケア|0th CLINIC 日本橋

神経因性膀胱(Neurogenic Bladder)

頻尿・切迫感・尿もれ、あるいは出にくい・残る。神経の病気や糖尿病性神経障害などで、膀胱や尿道のコントロールが難しくなる状態です。
目標は上部尿路(腎機能)を守ること、そして生活のしやすさ(QOL)の改善。当院は完全予約制当日/直前予約OK・出勤前/後も可です。
※診療時間はお知らせをご確認ください。

概要:上部尿路を守りつつ、今の生活で「現実解」を

神経因性膀胱は、膀胱(貯める)や尿道括約筋(出す)を司る神経の障害で、貯めにくい(過活動)出しにくい(低活動)括約筋との同調が悪い(DSD)などが起こる状態です。評価・方針は腎機能保護QOL改善を最優先に、段階的に設計します。

受診・救急の目安

救急へ:まったく出ない/激しい背中(側腹部)痛や発熱(腎盂腎炎・閉塞の疑い)/血のかたまりで出にくい
早めの受診を:頻回の尿路感染、夜間何度も起きる、強い切迫/尿もれ、繰り返す残尿感・尿勢低下、腎機能や水腎症を指摘された

主な症状

蓄尿のトラブル頻尿、切迫感、切迫性尿失禁、夜間頻尿、膀胱痛。
排出のトラブル尿が出にくい、時間がかかる、途切れる、いきみ、残尿感、尿閉。
繰り返す問題再発性尿路感染(UTI)、血尿、腎盂腎炎、水腎症、腎機能低下。

タイプ(イメージ)

過活動膀胱型膀胱が過敏で少量で強い尿意(頻尿・切迫・尿もれ)。
低活動膀胱型膀胱の収縮力が弱く出しきれない(残尿・尿勢低下・尿閉)。
括約筋‐膀胱の不同調(DSD)膀胱が収縮中でも括約筋がうまく緩まず高圧・残尿。

原因(代表例)

  • 中枢神経:脳梗塞/脳出血、パーキンソン病、MS、多系統萎縮症など
  • 脊髄:脊髄損傷、脊柱管狭窄、髄膜瘤、脊髄腫瘍・術後
  • 末梢神経:糖尿病性神経障害、骨盤神経障害、骨盤手術後
  • その他:重症便秘、薬剤性(抗コリン・三環系・抗精神病薬 など)

検査・診断(上部尿路保護の観点で)

問診・排尿日誌日中/夜間の回数、尿量、切迫/失禁、飲水・利尿薬、便通。
尿検査感染・血尿の確認、培養(UTI反復時)。
残尿量(PVR)超音波で測定(受診ごとの推移を重視)。
エコー腎盂拡張(水腎症)、膀胱壁肥厚、結石・腫瘍のスクリーニング。
尿流測定(UFM)最大尿流率・排尿時間の客観評価。
ウロダイナミクス充満/排出時の圧・機能評価(必要時)。
その他内視鏡・CT/MRI(選択的)、腎機能採血。

評価のポイントは高圧排尿の回避残尿管理です。

治療:負担と安全性のバランスで段階的に

生活・リハ 定時排尿・二段排尿、飲水/便秘の調整、骨盤底トレーニング、体幹リハ、姿勢・保温。
CIC(自己導尿) 第一選択級の残尿管理。回数・清潔手順・サイズを個別最適化。家族/介助者への指導も。
内服(蓄尿優位) 抗コリン薬/β3作動薬(単剤/併用)。認知機能・口渇/便秘など副作用を確認。
内服(排出障害) α1遮断薬(出口をゆるめる)など。低血圧・ふらつきに注意。
注入療法 膀胱ボトックス(過活動・高圧の抑制)—残尿増加に留意しCICとの併用計画
ニューロモデュレーション 仙骨神経刺激(適応選択)。通院/電池交換など運用も含めて説明。
留置カテーテル やむを得ない場合はできれば膀胱ろう(恥骨上)を優先。感染・皮膚トラブルに注意。
外科 高圧持続や腎機能悪化で膀胱拡大術などを専門施設と連携して検討。

方針は原因疾患・手の動き/介助体制・職業/生活リズムも加味して決めます。

在宅ケア:CIC自己導尿のポイント

基本手順(清潔操作の例)

  1. 手洗い・準備(カテーテル・潤滑剤)。
  2. 外陰部を前から後ろへ清拭。
  3. ゆっくり挿入し、尿が止まったら数秒待ち抜去。
  4. 記録(回数・量)と体調のチェック。

回数/サイズは個別に調整。旅行・仕事の動線に合わせ持ち物や保管を工夫します。

よくあるつまずき

  • 痛み:力まず深呼吸、角度を微調整。潤滑剤を十分に。
  • 出血:少量は様子見、持続/多量は受診。
  • 発熱/悪寒:UTI疑い。採尿/培養と治療を検討。
  • 便秘・脱水:残尿/感染を悪化。日々の整えが鍵。

感染予防のコツ

  • 手洗い・清潔操作、カテーテルは使い回さないタイプを基本に。
  • 飲水と定時排尿、便秘対策、パッドはこまめに交換。
  • 再発時は培養・感受性を軸に抗菌薬を最適化。独断の抗菌薬連用は避ける。
  • 高圧尿・大量残尿の是正(CIC/ボトックス/α遮断薬など)も感染予防の一部です。

費用の目安(保険/自費の考え方)

診察+尿検査保険(自己負担は保険種別・項目で変動)
残尿測定・エコー・尿流測定保険(症状に応じて実施)
ウロダイナミクス保険(必要時)
自己導尿(CIC)指導保険(指導・物品は保険適用の範囲で手配)
内服・注入・機器療法保険/適応により判断(詳細は診察で)

当院は自費は性病検査と治療の一部のみ、その他は保険診療で対応しています。

FAQ:よくある質問

自己導尿は一生必要ですか?
残尿量や感染リスク、治療反応性で見直します。ボトックス/内服/ニューロモデュレーション併用で回数を調整できる場合もあります。
旅行や仕事中のやり方が不安です。
回数・時間帯・携行セットを一緒に設計します。職場のトイレ環境に合わせた現実的なプランを提案します。
感染が心配です。
清潔操作・便秘/脱水対策・高圧是正が要です。再発時は培養に基づき抗菌薬を最適化します。
妊娠や持病があっても治療できますか?
可能です。妊娠週数や併用薬により選択肢が変わるため、個別に調整します。

👨‍⚕️ 医師監修

神経因性膀胱(Neurogenic Bladder)

荘子 万可 医師(泌尿器科専門医/日本抗加齢医学会専門医/テストステロン治療認定医)
0th CLINIC 日本橋 泌尿器科

本ページの医学的内容(受診目安・検査・治療の考え方)を確認しています。

  • 監修日:2025-10-31
  • 最終更新日:2025-10-31
  • 監修範囲:本文全体(FAQ・費用方針を含む)

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