リシノプリル(ACE阻害薬)|効果・副作用・咳・心不全への使い方
リシノプリル(ACE阻害薬)
リシノプリルは、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)に分類される薬です。 日本では高血圧症に加え、軽症〜中等症の慢性心不全にも用いられます。
ACE阻害薬らしく、空咳や血管性浮腫に注意が必要です。 当院では家庭血圧、腎機能、血清カリウム、利尿薬や心不全治療薬の併用まで含めて処方を検討します。
まず押さえたいポイント
- 適応:高血圧症、慢性心不全(軽症〜中等症)
- 高血圧の通常量:10〜20mgを1日1回
- 心不全の通常量:5〜10mgを1日1回、腎障害例では2.5mg開始が目安
- ACE阻害薬らしい注意:空咳、血管性浮腫、急性腎障害、高カリウム血症、妊娠禁忌
アンジオテンシン変換酵素を阻害し、アンジオテンシンⅡの生成を抑えて血圧を下げる薬です。
高血圧の治療に加え、心不全治療中の薬剤整理や、腎機能をみながら降圧薬を選びたい方に相談されます。
家庭血圧、息切れやむくみ、現在の薬、利尿薬の有無、腎機能やカリウムの採血結果があると判断しやすくなります。
リシノプリルとは
リシノプリルはACE阻害薬に分類されます。RAA系に作用し、昇圧に関わるアンジオテンシンⅡの産生を抑えます。
血圧を整えることに加え、慢性心不全では基礎治療の一部として位置づけられることがあります。
高血圧に加えて、心不全や腎機能の変化をふまえて治療設計を考えたいときに候補になります。
ACE阻害薬とARBの違い
ACE阻害薬は、ARBと比べて乾いた咳(空咳)が出ることがあります。 咳が気になる場合は、ARBへの切り替えを含めて相談します。
効能・効果
- 高血圧症
- 慢性心不全(軽症〜中等症)
慢性心不全では、ジギタリス製剤、利尿剤などの基礎治療で十分な効果が得られない場合に追加投与する位置づけで、 単独投与の有用性は確立されていません。
飲み方・用量の目安
| 高血圧症 | 通常、成人では10〜20mgを1日1回。年齢や症状により調整します。重症高血圧症または腎障害を伴う高血圧症では5mgから開始することが望ましいとされています。 |
|---|---|
| 慢性心不全 | 本剤はジギタリス製剤、利尿剤等の基礎治療剤と併用します。通常、成人では5〜10mgを1日1回。腎障害を伴う場合は初回2.5mgから開始することが望ましいとされています。高齢者でも2.5mg開始が目安です。 |
| 飲み忘れたら | 気づいた時点でその日の分だけ内服し、2回分をまとめて飲まないことが基本です。判断に迷う場合は処方元へ確認してください。 |
| 手術前の注意 | 手術前24時間は投与しないことが望ましいとされています。予定手術がある場合は必ず申告してください。 |
開始後の採血が大切です
リシノプリルでは、急性腎障害や高カリウム血症に注意が必要です。 当院でも開始初期や増量時は、血圧に加えて血清クレアチニンと血清カリウムを確認しながら調整します。
こういう方は特に相談してください
妊婦または妊娠している可能性がある方には投与できません。妊娠を計画している場合も早めの相談が必要です。
ACE阻害薬では乾いた咳が出ることがあります。長引く咳がある場合は、薬剤性の可能性を含めて見直します。
腎機能低下や高カリウム血症がある方では、より慎重な採血フォローが必要です。
両側性腎動脈狭窄、または片腎で腎動脈狭窄がある場合、急速に腎機能が悪化するおそれがあり、原則慎重判断です。
利尿薬、ジギタリス、β遮断薬、MRAなどと併用されることがあり、血圧や腎機能のバランスを見ながら調整します。
特定アフェレーシス、AN69膜透析、ARNI内服中の方は重要な禁忌・注意点があります。必ず申告してください。
副作用と注意点
めまい、頭痛、ふらつき、立ちくらみ、低血圧、倦怠感、胃部不快感に加えて、空咳がみられることがあります。
血清クレアチニン上昇、BUN上昇、高カリウム血症など。開始後や増量後は確認が大切です。
血管性浮腫、腸管血管性浮腫、急性腎障害、高カリウム血症、膵炎などがあります。
すぐ相談したい症状
- 唇・舌・喉・顔が急に腫れる、声が出にくい、息が苦しい
- 立っていられないほどのめまい、失神、冷汗
- 尿量の低下、急なむくみ、強いだるさ
- 脱力、しびれ、筋力低下、動悸
- 腹痛、嘔気、嘔吐、下痢が強い
- 妊娠が判明した、またはその可能性がある
併用に注意したい薬・治療
| 利尿薬 | 利尿薬投与中は初回の急激な血圧低下に注意が必要で、低用量開始が望ましいことがあります。 |
|---|---|
| カリウム保持性利尿薬・カリウム製剤 | スピロノラクトン、エプレレノン、トリアムテレン、カリウム製剤などは高カリウム血症のリスクを高めます。 |
| NSAIDs | 一部の鎮痛薬は降圧効果を弱めたり、腎機能へ影響したりすることがあります。 |
| アリスキレン | 糖尿病患者では原則併用禁忌です。その他のケースでも慎重な判断が必要です。 |
| ARNI(サクビトリル/バルサルタン) | 投与中、または中止後36時間以内は併用できません。血管性浮腫のリスクが高まります。 |
| AN69膜透析・特定アフェレーシス | 禁忌です。アナフィラキシーや血管性浮腫など重い反応を起こすことがあります。 |
| ARB | 腎機能障害、高カリウム血症、低血圧のリスクが上がるため、併用時は血圧・腎機能・カリウムの十分な観察が必要です。 |
0th CLINIC 日本橋での処方の流れ
外来血圧だけでなく、家庭血圧、健診結果、息切れやむくみ、既往歴、現在の内服を確認します。
リシノプリルが合うか、他のACE阻害薬がよいか、ARBへ振り分けた方がよいかを判断します。
開始後は血圧、腎機能、カリウムを確認し、咳やめまいの有無も含めて増減を調整します。
よくある質問
リシノプリルは何mgから始めることが多いですか?
高血圧症では通常 10〜20mg を 1日1回ですが、重症高血圧や腎障害を伴う場合は 5mg から開始することが望ましいとされています。
慢性心不全でも使う薬ですか?
はい。軽症〜中等症の慢性心不全にも適応があります。ただし、ジギタリス製剤や利尿薬などの基礎治療で十分な効果が得られない場合に追加する位置づけです。
空咳が出ることはありますか?
あります。ACE阻害薬では乾いた咳が出ることがあり、長引く場合は薬剤性の可能性があります。気になるときはARBなど別系統への切り替えも含めて相談します。
なぜ採血が必要なのですか?
急性腎障害や高カリウム血症を早めに見つけるためです。開始直後や増量時は特に大切です。
手術前も飲み続けてよいですか?
手術前 24 時間は投与しないことが望ましいとされています。予定手術がある場合は、処方元や手術担当医へ事前に確認してください。
妊娠を考えている場合でも飲めますか?
妊婦または妊娠している可能性のある方には投与できません。妊娠希望がある場合も、事前に安全性の高い代替薬への切り替えを相談してください。
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監修
黒田 揮志夫 医師
0th CLINIC 日本橋 院長。病理専門医、プライマリ・ケア認定医、産業医・健康スポーツ医。 高血圧、心不全、腎機能を横断して、継続しやすい治療設計を大切にしています。
リシノプリルは、血圧だけでなく咳の有無、腎機能、カリウム、心不全症状を見ながら使う薬です。 当院では薬の開始後も、家庭血圧と採血をあわせて丁寧にフォローします。
※本ページは一般的な薬剤情報の整理を目的としたもので、実際の処方は診察・採血・併用薬確認のうえで個別に判断します。
※妊娠中または妊娠の可能性がある方は使用できません。
※他院処方薬を内服中の方は、お薬手帳または薬剤情報をご持参ください。
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