イミダプリル(タナトリル/後発品)|ACE阻害薬の効果・副作用・咳・糖尿病性腎症
イミダプリル(タナトリル/後発品)
イミダプリルは、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)に分類される薬です。 日本では高血圧症、腎実質性高血圧症に用いられ、 2.5mg/5mg規格では1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症にも適応があります。
ACE阻害薬らしく、咳や血管性浮腫に注意が必要です。 当院では家庭血圧、腎機能、血清カリウム、糖尿病の有無、併用薬をあわせて処方を検討します。
まず押さえたいポイント
- 適応:高血圧症、腎実質性高血圧症、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症(2.5mg/5mg規格)
- 高血圧の通常量:5〜10mgを1日1回
- 低用量開始が重要:重症高血圧、腎障害合併例では2.5mg開始が検討されます
- ACE阻害薬らしい注意:咳、血管性浮腫、急性腎障害、高カリウム血症、妊娠禁忌
アンジオテンシン変換酵素を阻害し、アンジオテンシンⅡの生成を抑えて血圧を下げる薬です。
高血圧や腎実質性高血圧の相談に加え、糖尿病と蛋白尿・腎機能の評価を含めた薬選びで用いられます。
家庭血圧、糖尿病治療の内容、現在の薬、腎機能やカリウムの採血結果があると判断しやすくなります。
イミダプリルとは
イミダプリルはACE阻害薬に分類されます。RAA系に作用し、昇圧に関わるアンジオテンシンⅡの産生を抑えます。
血圧を整えることに加え、一部規格では1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に対して腎機能・蛋白尿管理の一部として使われます。
高血圧に腎機能の課題が重なる方や、糖尿病性腎症の降圧管理を考えたい方で候補になります。
ARBとの違い
ACE阻害薬は、ARBと比べて咳が出ることがあります。 そのため、内服開始後に咳が続く場合は、薬剤性かどうかを評価し、必要に応じてARBへの切り替えも検討します。
効能・効果
- 高血圧症
- 腎実質性高血圧症
- 1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症(2.5mg/5mg規格)
10mg規格は高血圧症・腎実質性高血圧症が中心で、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症は2.5mg/5mg規格の適応です。
飲み方・用量の目安
| 高血圧症・腎実質性高血圧症 | 通常、成人では5〜10mgを1日1回。年齢や症状により調整します。重症高血圧症、腎障害を伴う高血圧症、腎実質性高血圧症では2.5mgから開始することが望ましいとされています。 |
|---|---|
| 1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症 | 通常、成人では5mgを1日1回。ただし、重篤な腎障害を伴う場合は2.5mgから開始することが望ましいとされています。 |
| 飲み忘れたら | 気づいた時点でその日の分だけ内服し、2回分をまとめて飲まないことが基本です。判断に迷う場合は処方元へ確認してください。 |
| 手術前の注意 | 手術前24時間は投与しないことが望ましいとされています。予定手術がある場合は必ず申告してください。 |
開始後の採血が大切です
特に1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症では、投与初期1か月以内に急速な腎機能悪化や高カリウム血症が起こるおそれがあります。 当院でも開始初期は血清クレアチニンと血清カリウムを確認しながら調整します。
こういう方は特に相談してください
妊婦または妊娠している可能性がある方には投与できません。妊娠を計画している場合も早めの相談が必要です。
ACE阻害薬では咳が出ることがあります。長引く咳がある場合は、薬剤性の可能性を含めて見直します。
腎機能障害や高カリウム血症がある方、またはカリウムが上がりやすい方では、より慎重な採血フォローが必要です。
両側性腎動脈狭窄、または片腎で腎動脈狭窄がある場合、急速に腎機能が悪化するおそれがあり、原則慎重判断です。
特定アフェレーシス、AN69膜透析、ARNI内服中の方は重要な禁忌・注意点があります。必ず申告してください。
糖尿病患者でアリスキレンを使っている場合は原則併用禁忌です。糖尿病薬との組み合わせでは低血糖にも注意します。
副作用と注意点
頭痛、ふらつき、めまい、立ちくらみ、低血圧、胃部不快感、腹痛、下痢に加えて、咳、咽頭部の違和感、不快感、痰、嗄声などがみられることがあります。
血清クレアチニン上昇、BUN上昇、蛋白尿、高カリウム血症など。開始後や増量後は確認が大切です。
血管性浮腫、急性腎障害、血小板減少、汎血球減少、膵炎、重い皮膚障害などがあります。
すぐ相談したい症状
- 唇・舌・喉・顔が急に腫れる、声が出にくい、息が苦しい
- 立っていられないほどのめまい、失神、冷汗
- 尿量の低下、急なむくみ、強いだるさ
- 脱力、しびれ、筋力低下、動悸
- 妊娠が判明した、またはその可能性がある
併用に注意したい薬・治療
| 利尿薬 | 利尿薬投与中は初回の急激な血圧低下に注意が必要で、低用量開始が望ましいことがあります。 |
|---|---|
| カリウム保持性利尿薬・カリウム製剤 | スピロノラクトン、エプレレノン、トリアムテレン、カリウム製剤などは高カリウム血症のリスクを高めます。 |
| NSAIDs | 一部の鎮痛薬は降圧効果を弱めたり、腎機能へ影響したりすることがあります。 |
| アリスキレン | 糖尿病患者では原則併用禁忌です。その他のケースでも慎重な判断が必要です。 |
| サクビトリル/バルサルタン | 投与中、または中止後36時間以内は併用できません。血管性浮腫のリスクが高まります。 |
| 特定アフェレーシス・AN69膜透析 | 特定の吸着器を用いたアフェレーシス施行中、またはAN69膜透析施行中は禁忌です。 |
| 糖尿病薬 | インスリンや経口血糖降下薬投与中では、低血糖が起こりやすいとの報告があります。 |
0th CLINIC 日本橋での処方の流れ
外来血圧だけでなく、家庭血圧、糖尿病治療内容、既往歴、現在の内服を確認します。
イミダプリルが合うか、ACE阻害薬の中で別薬がよいか、ARBへ振り分けた方がよいかを判断します。
開始後は血圧、腎機能、カリウムを確認し、咳やめまいの有無も含めて増減を調整します。
よくある質問
イミダプリルは何mgから始めることが多いですか?
高血圧症・腎実質性高血圧症では通常 5〜10mg を 1日1回ですが、重症高血圧や腎障害を伴う場合は 2.5mg から開始することが望ましいとされています。
糖尿病性腎症にも使えますか?
はい。1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に適応があります。ただし、実務上は 2.5mg / 5mg 規格が中心で、開始初期の腎機能・カリウム確認が重要です。
咳が出ることはありますか?
あります。ACE阻害薬では咳が出ることがあり、長引く場合は薬剤性の可能性があります。気になるときはARBなど別系統への切り替えも含めて相談します。
なぜ採血が必要なのですか?
急性腎障害や高カリウム血症を早めに見つけるためです。特に糖尿病性腎症に対して開始した初期は大切です。
手術前も飲み続けてよいですか?
手術前 24 時間は投与しないことが望ましいとされています。予定手術がある場合は、処方元や手術担当医へ事前に確認してください。
妊娠を考えている場合でも飲めますか?
妊婦または妊娠している可能性のある方には投与できません。妊娠希望がある場合も、事前に安全性の高い代替薬への切り替えを相談してください。
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監修
黒田 揮志夫 医師
0th CLINIC 日本橋 院長。病理専門医、プライマリ・ケア認定医、産業医・健康スポーツ医。 高血圧、糖尿病、腎機能を横断して、継続しやすい治療設計を大切にしています。
イミダプリルは、血圧だけでなく咳の有無、腎機能、カリウム、糖尿病性腎症の経過を見ながら使う薬です。 当院では薬の開始後も、家庭血圧と採血をあわせて丁寧にフォローします。
※本ページは一般的な薬剤情報の整理を目的としたもので、実際の処方は診察・採血・併用薬確認のうえで個別に判断します。
※妊娠中または妊娠の可能性がある方は使用できません。
※他院処方薬を内服中の方は、お薬手帳または薬剤情報をご持参ください。
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