降圧薬カテゴリ総覧|第一選択の考え方と併用ステップ|0th CLINIC 日本橋
降圧薬カテゴリ総覧|第一選択の考え方と併用のステップ
「まず何から? どこまで上げる? 副作用が出たら次は?」を、合併症と生活背景に合わせて最短ルートで整理。
詳細は個別薬ページに分け、このページでは“カテゴリの地図”だけを示します(カニバラ回避)。
アクセス
東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)
やさしい解説
はじめに:お薬えらびの基本
高血圧の治療は、まず「続けやすく安全」なお薬から始めます。多くの方は、次の
3つのタイプのどれか、または組み合わせでスタートします。
- 🫀血管をゆるめるタイプ(ARB/ACE系):血管のこわばりを取って血圧を下げます。
- 🌊血管の締めつけをゆるめるタイプ(カルシウム拮抗薬):血管が広がり、流れがスムーズに。
- 💧余分な水分を出すタイプ(利尿薬):むくみや血液の量を整えて、血圧を下げます。
合併症や体質で、えらぶ順番が変わります
持病や体質により、優先するお薬が変わります。
- 腎臓が心配・尿タンパク・糖尿病:腎臓を守る働きがある薬(ARB/ACE)を優先。
- 心臓の病気・心不全:心臓を休ませる/守る薬(β遮断薬+ARB/ACE)を検討。
- むくみやすい:利尿薬やARB/ACEを中心に、むくみが出やすい薬は控えめに。
ポイント:
「この病気ならこの薬一択」ではなく、いまの体調・生活・副作用の出やすさを見ながら、少しずつ最適化します。
家庭血圧でチェック(おすすめ)
- 朝・晩に1回ずつ、1週間の平均をとると、病院の数値より実態に近づきます。
- 測り方:1~2分休む → 上腕式で測る → 記録する。
- 平均値を見ながら、1~2か月ごとに微調整していきます。
副作用かな?と思ったら
合わないと感じても、自己中断はNG。多くは「置き換え・量の調整・別の薬を足す」で解決します。
- 足のむくみ:むくみが出やすい薬を減らし、利尿薬やARBへ比重を移す。
- せき(まれ):ACE系をARBに替えると治まることがあります。
- ふらつき・だるさ:量を下げる、分けて飲む、時間帯を変える、などで改善。
💡 よくある質問
Q. 薬は一生? → 生活改善(減塩・体重・運動・睡眠)が進むと、
量や種類を減らせることも。
Q. 早く強く効く薬が良い? → 安全に続けられることが最優先。じわっと効く薬が合う方も多いです。
※ 妊娠希望や他の薬との飲み合わせは、受診時にご相談ください。自己判断での中断は避けましょう。
合併症・背景別の“ざっくり優先マップ”
まずは「安全に続けやすい」組み合わせ
家庭血圧(朝晩1週間の平均)で調整
1〜2か月ごとに微調整
| 状況 |
まず考えるお薬 |
次の選択肢 |
注意ポイント |
| 尿にたんぱく/腎臓が心配/糖尿病がある |
腎臓を守るタイプ |
血管をゆるめるタイプ or 余分な水分を出すタイプ |
定期的に血液(腎機能・カリウム)をチェック。 |
| 足のむくみが気になる |
むくみを減らすタイプ or 腎臓を守るタイプ |
血管を広げる薬は少量・ゆっくり効く製剤から |
一部の薬はむくみが出やすいため、量や種類を調整します。 |
| 心臓の血管の病気がある/脈が速め |
心臓の負担を減らす薬+腎臓を守るタイプ |
血管を広げる薬(脈をゆっくりにする種類を含む) |
脈が遅くなりすぎないか・立ちくらみに注意。 |
| ご高齢/「上の血圧」が高く出やすい |
血管を広げる薬 or 余分な水分を出す薬 |
腎臓を守るタイプ |
立ちくらみ(起立性低血圧)に注意。少量から始めます。 |
| 妊娠を希望/妊娠中 |
まず専門医と相談 |
妊娠でも使える薬(例:メチルドパ など) |
妊娠中使えない薬があるため、必ずご相談ください。 |
用語をやさしく置き換えています:
・腎臓を守るタイプ=(医療者向け:ARB/ACE)/ 血管を広げる薬=(カルシウム拮抗薬)/ 余分な水分を出す薬=(サイアザイド系 など)/ 心臓の負担を減らす薬=(β遮断薬 など)
・個別の体質・飲み合わせで最適は変わります。自己調整は行わず、受診時にご相談ください。
※ 表はあくまで「方向性」の目安です。実際の処方は、血圧の測定結果・合併症・副作用の出やすさ・他のお薬との相性を見ながら医師と一緒に決めていきます。
カテゴリ別:個別薬ページへ
Ca拮抗薬(DHP/非DHP)
収縮期のコントロールに強く、第一選択の柱。浮腫が出たら用量/剤形/併用で調整。
ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
腎/蛋白尿の保護や代謝面で選びやすい柱。ACE咳の代替にも。
ACE阻害薬
腎・心保護のエビデンスが豊富。咳が出る場合はARBへ変更検討。
利尿薬(サイアザイド/ループ/MRA)
浮腫体質・収縮期優位・併用強化に有用。電解質/腎機能を定期チェック。
β遮断薬(心疾患合併・頻脈に)
虚血・心不全・頻脈傾向がある時に。徐脈/気道疾患に注意。
α遮断薬・中枢性交感抑制薬(補助)
夜間症状・BPH合併・妊娠関連など、個別事情で補助的に。
配合剤(服薬簡素化・アドヒアランス向上)
2剤が必要なら、服薬を簡便にする配合剤も選択肢。
併用のステップ(アルゴリズム)
- 開始:ARB/ACE、Ca拮抗薬、サイアザイド様のいずれか(合併症で選択)。
- 2剤併用:上記から異なる機序を組み合わせ(例:ARB+Ca、ARB+利尿)。
- 3剤併用:ARB/ACE+Ca+サイアザイド様を基本形に、状況でβ/MRAを追加。
- 難治性:服薬/生活・二次性高血圧・睡眠時無呼吸を再評価、MRAや専門治療を検討。
評価は家庭血圧の平均が基本。朝のみ高い/夜のみ高い場合は時間帯調整も。
副作用時の“次の一手”
| よくある悩み |
起こしやすい薬 |
対策例 |
| 足のむくみ |
Ca拮抗薬 |
用量/剤形調整、ARB追加、利尿薬少量追加 |
| 空咳 |
ACE阻害薬 |
ARBへ変更 |
| 低K/高尿酸 |
サイアザイド/ループ |
電解質/尿酸モニター、用量調整、MRA併用など |
| 徐脈・倦怠 |
β遮断薬/非DHP Ca |
用量調整、薬剤入れ替え、伝導評価 |
自己判断の中断は危険です。LINEで症状を共有いただければ調整方針をご案内します。
注意事項
- 腎機能障害/妊娠/授乳/高齢/併用薬(NSAIDs等)では選択が変わります。
- ACE/ARB、利尿薬、MRA使用時は腎機能・電解質のモニタリングが必要です。
- 本ページはカテゴリの概要であり、用法・禁忌・相互作用は個別薬ページに委ねています。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「循環器疾患は、多くが静かに進行します。
だからこそ、症状のないうちから予防と管理に取り組むことが重要です。
検査データや生活背景まで丁寧に確認し、“納得して続けられる医療”を心がけています。」
0th CLINICの循環器内科では、高血圧・動脈硬化・不整脈などの疾患を中心に、忙しい現代人にも続けやすい医療設計を行っています。
未来の病気を防ぐ「未病医療」を、あなたの日常に無理なく取り入れていきましょう。
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/外科病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長
医学博士(心臓血管外科学)
日本病理学会認定 病理専門医/元外科専門医
総合診療・救急・心臓血管外科領域での診療経験10年以上