TG高値の薬物療法|フィブラート・ω-3|0th CLINIC 日本橋
TG高値の薬物療法|フィブラート・ω-3
要約:中性脂肪(TG)が高いときは、まず膵炎を防ぐのが最優先。
フィブラートとオメガ3(EPA/EPA+DHA)の優先順位、腎機能や併用の注意を、実行に移しやすい形で整理します。
アクセス
東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)
まずは考え方(優先順位)
- 膵炎リスクを下げる:TGが非常に高いとき(例:500mg/dL以上が続く等)は、まず速やかな低下を優先。
- 心血管リスクも並行評価:TGが落ち着いたら、LDL(スタチン)やApoB/非HDLで全体最適化。
- 二次性の原因を同時に整理:糖代謝・甲状腺・腎・肝・アルコール・薬剤はこちらで切り分け。
薬の種類と“使いどころ”
フィブラート
TGを下げることに強み。とくにTGが高い局面で“まず下げる”目的に向きます。
※ 腎機能・併用薬の影響を受けやすいので、用量調整とモニタリングが前提です。
オメガ-3脂肪酸(EPA系)
TG低下に加え、炎症やイベント低減が期待できる研究があります。飲みやすく併用しやすいのが利点。
※ 出血傾向がある方・抗凝固薬内服中は、出血リスクの説明と経過観察を行います。
どう効く?(やさしい機序)
| 薬のグループ |
主な働き |
期待できること |
相性の良い場面 |
フィブラート (ペマ/フェノ/ベザ) |
肝臓の“脂の処理”スイッチ(PPARα)を入れて、TG(中性脂肪)を作りにくく・燃やしやすくする |
TGをぐっと下げる/HDLが少し上がることも |
TGがかなり高い、まず膵炎を避けたいとき |
オメガ-3脂肪酸 (EPA / EPA+DHA) |
肝臓でTGの材料が作られにくくなる/一部は炎症をしずめる働きも |
TGを穏やかに下げる/飲みやすく続けやすい |
長期で続けたい/スタチン・エゼチミブと併用しやすい形にしたいとき |
※ 効き方や下がり幅には個人差があります。検査値の推移を見ながら調整します。
どれをいつ?(薬の選び方)
① まず“膵炎を防ぐ”段階
- TGがとても高い(例:500mg/dL以上が続く)なら、まずフィブラートを軸に素早く下げる。
- 短期の断酒・甘い飲み物/早食いストップ・油の見直しを同時に。
- 糖尿病・甲状腺・腎・肝・薬剤などの原因チェックも同時進行(二次性)。
② “心血管リスクも下げる”段階
よくある使い分け(目安):
- TG ≧ 500mg/dL:フィブラートを先に。落ち着いたらオメガ-3へ追加/切替で長期運用。
- TG 200–499mg/dL:まず生活とLDL対策(スタチン等)。オメガ-3を早めに併用すると続けやすい。
- 非空腹採血が多い:オメガ-3先行 or 併用でブレを抑えやすい。
- 腎機能が弱い/多剤併用:オメガ-3を優先し、必要に応じて低用量フィブラート。
※ 数値は一般的な目安です。個別の状況(腎・肝機能、薬の飲み合わせ、費用、続けやすさ)で調整します。
安全性と併用(腎機能・スタチン・肝胆道)
フィブラートの注意
- 腎機能:eGFRに応じて用量調整。腎機能低下時は慎重投与。
- スタチン併用:筋症リスクに注意。症状(筋痛・脱力・褐色尿)あればすぐ連絡。
- 肝・胆道:肝酵素上昇、胆石の既往は注意。腹痛・黄疸は受診目安。
オメガ-3の注意
- 出血傾向:抗凝固薬・抗血小板薬と併用時は打撲・出血に注意。
- 消化器症状:胃もたれ・げっぷなど。食後服用で軽減。
- アレルギー:魚介アレルギーの既往は事前に申告を。
妊娠・授乳の可能性がある場合は事前に必ずご相談ください。
“どっちを先に?”(要点)
フィブラートを先に
- TGがかなり高い(膵炎回避を最優先)
- 非空腹・食後でTGが大きくブレる
- 腎機能や胆道の状態を確認し、短期間で下げたい
オメガ-3を先に/併用
- スタチン・エゼチミブと併用しやすい形にしたい
- 出血リスクに注意しつつ、長期の心血管予防も見据える
- 胃腸への負担が少なく、続けやすさを重視
最終判断は、採血値の推移・腎機能・併用薬・費用感・続けやすさを総合して決めます。
副作用と“戦略”(安全に、上手に)
フィブラート:短期で“がっ”と下げる
- 腎機能に合わせた用量から開始(eGFRに応じ調整)。
- スタチン併用時の筋症状(筋痛・脱力・褐色尿)に注意。気づいたらすぐ連絡。
- 胆石・右上腹部痛・黄疸などは受診の合図。
- TGが落ち着いたら、用量を見直す/オメガ-3へ切替して長期の副作用負担を減らす。
オメガ-3:長く“じわっ”と効かせる
- 出血傾向(抗凝固薬・抗血小板薬内服中)は打撲・鼻血に注意し、経過を共有。
- 胃もたれ・げっぷは食後内服やカプセルの分割で軽減できることあり。
- 魚介アレルギーは必ず申告を。
- フィブラートからの段階的な切替で、安全性と続けやすさのバランスを取る。
モニタリングのコツ:
- 開始/変更後4〜12週でTG/非HDL、肝酵素、腎機能、必要に応じてCK。
- 症状があれば予定を待たずにご連絡(筋痛・褐色尿・持続腹痛・黄疸・出血傾向)。
- 採血は条件を近づける(時間帯、食事、運動、飲酒)と、変化が読みやすくなります。
妊娠・授乳の可能性がある場合は、事前に必ずご相談ください。
モニタリング(再検の目安)
- 開始/変更後 4〜12週:脂質(TG/非HDL)・肝酵素・腎機能・CK(必要時)。
- 以降 3〜6か月ごと:継続評価と用量調整。
- 筋痛、褐色尿、右上腹部痛、黄疸、急な腹痛(膵炎疑い)は即連絡。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「TGの治療は“膵炎を防ぐ”段階と、“心血管リスクを下げる”段階で考え方が少し変わります。
フィブラートとオメガ3を、腎機能・併用薬・続けやすさで上手に使い分けましょう。」
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/外科病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士(心臓血管外科学)
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